第1635回 ワールドカップ予選終了(2) プレーオフを勝ち抜いた4チーム

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■主将でエースストライカーの対決となったスウェーデン-ポルトガル戦

 FIFAランキング21位のフランスが20位のウクライナに対して大逆転劇を演じたが、このプレーオフでフランス以外に3チームが本大会の出場権を獲得した。本連載第1619回で紹介した通り、他の3つのプレーオフはスウェーデン(FIFAランキング25位)-ポルトガル(14位)、ルーマニア(29位)-ギリシャ(15位)、クロアチア(18位)-アイスランド(46位)である。  スウェーデンとポルトガルの対戦は第1戦をポルトガルのリスボンで戦い、ポルトガルが後半に主将でありエースストライカーであるクリスチャーノ・ロナウドのゴールで1-0と先勝した。
 第2戦はスウェーデンのソルナで行われたが壮絶な試合となった。前半は両チーム無得点、このままでいくとポルトガルが本大会出場となるが、50分にポルトガルがクリスチャーノ・ロナウドのゴールで突き放し、これでポルトガルがワールドカップ出場かと思われたが、ホームのスウェーデンにも主将でありエースストライカーである男がいる。それがズラタン・イブラヒモビッチであり、クリスチャーノ・ロナウドに負けじと本領発揮、69分、72分と立て続けにゴールを決める。2試合通算得点では並び、アウエーゴールの差でポルトガルが優位であるが、残り20分弱、これまでパリでミラノで、そして欧州の至る都市で奇跡を起こしてきたイブラヒモビッチがおそらく最後になるであろうワールドカップに向けてゴールを決めることをファンは確信している。
 しかし、5万人近い満員の観衆は世界を代表するストライカーのゴールの前に沈黙してしまう。クリスチャーノ・ロナウドは77分、79分とゴールを決める。通算得点はポルトガルの4に対し、スウェーデンは2。ポルトガルが本大会出場を決めたわけだが、ポルトガルの4ゴールすべてはクリスチャーノ・ロナウドが記録し、2013年になって所属クラブ(レアル・マドリッド)、代表チームと合わせて66ゴール目、自身が昨年打ち立てたポルトガル記録の63ゴールという記録を塗り替えた。一方、スウェーデンの2ゴールはいずれもイブラヒモビッチのゴールである。主将にしてエースストライカーの競演を両国のファンは楽しむことができたが、イブラヒモビッチの姿をブラジルの地で見ることができないのはパリジャンならずとも残念である。

■第1戦に先勝したギリシャが本大会へ

 第1戦を3-1とホームで勝利したギリシャは、アウエーでの第2戦、ブカレストの国立競技場は5万大観衆が集う。ギリシャはエースで第1戦でも2得点を決めているコンスタンティノス・ミトログルが23分にゴールを決めて、本大会出場を決定的なものにする。ルーマニアは後半に入って55分にギリシャの選手のオウンゴールで1点を返すにとどまり、結局ホームゲームは1-1のドロー、2試合通算得点で4-2としたギリシャが本大会出場を決める。

■本大会に届かなかったアイスランド

 そして今プレーオフの台風の目となったアイスランド、クロアチア相手に第1戦はホームでスコアレスドローに持ち込む。アウエーの第2戦は勝利あるいは得点を決めての引き分けならば念願の初出場が実現する。しかし、アイスランドの初出場の夢を奪ったのはドイツのバイエルン・ミュンヘンで活躍するマリオ・マンジュキッチである。27分に先制ゴールをあげる。ここでアイスランドが追いつけば、ブラジルに大きく近づいたが、2点目をあげたのは47分、ウクライナのシャフタール・ドネツクのDF、ダリオ・スルナである。クロアチアは第2戦を2-0と制し、ワールドカップ出場を決めた。

■紙一重の戦いだったウクライナとフランスのプレーオフ

 このプレーオフの結果、下位シードで上位シードを破ったのはフランスだけであり、それ以外の3カードは上位シードの国が本大会出場を決めた。欧州からは13チームが出場するが、FIFAランキングで20位以内の国で本大会出場を逃したのはウクライナだけ、そしてFIFAランキング21位以下で本大会出場を決めたのはフランスだけ、まさにウクライナとフランスのプレーオフは紙一重の戦いだったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ