第1637回 ワールドカップ組み合わせ決定(2) 恵まれた組み合わせとなったフランス
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■3大会連続シード入りした後、2大会連続してシード落ちしたフランス
10月現在のFIFAランキングで上位7か国に入ることができず、シード外のポット4に入ったフランスは、前回大会に続いてシード落ちした。1998年大会以降2006年大会まで3大会連続してシード入りし、その後2大会連続してシード落ちとなったわけであるが、1998年大会は開催国、2002年大会は前回優勝国、そして2006年大会はFIFAランキングや予選の戦績は考慮されてはいるだろうが、主催者が開催国と前回優勝国以外の6か国を選定した中に入っている。
■シード入りを僅差で逃した前回大会、末席に近い今大会
ワールドカップのシードがFIFAランキングだけで決められるようになったのは前回大会だけである。この形式になってから2大会連続でシード落ちしたフランスであるが、前回と今回とではかなり状況が異なる。前回大会はシード落ちしてはいるが、FIFAランキングでシード入りしたのは開催国の南アフリカ以外の7か国。フランスは抽選会時点でのFIFAランキング、すなわち11月発表のものでは7位であったが、シード順を決定したのは10月時点のものを使い、10月段階で8位だったフランスはあと一歩でシード落ちする。
今回は、欧州からの出場国する13か国のうち、10月時点でのランキングは最下位の21位、最新の11月段階でも下から3番目の19位(フランスより下位の国はボスニア・ヘルツェゴビナの21位とロシアの22位)であり、プレーオフを第1シードを望むレベルではない。
このように国際的な地位が低くなったフランスは、来年のワールドカップはチャレンジャーとして臨むことになる。その組み合わせ抽選でシード入りしなかった欧州9か国からなるポット4の末席にフランスは位置する。
■ポット4から1チーム選ばれたイタリア
12月6日に行われた抽選は大きな原則として欧州のチームは同一グループに2か国までしか入らず、それ以外の大陸のチームは同一グループに1チームだけしか入らない。この原則に関連するのは欧州と南米であり、まずシードに相当するポット1の南米勢のうち1チームはポット4の欧州勢2チームと同じグループになるように抽選され、ウルグアイがポット4の欧州勢2チームと同じグループになることになった。そしてポット4の9チームのうちウルグアイと同グループになる国が抽選されイタリアが選ばれる。
次にポット2(南米、アフリカ)の7か国、ポット3(アジア、北中米カリブ海)の8か国が抽選が行われ、最後にフランスの所属するポット4の抽選が行われた。
ポット3までの抽選が終わったところで、グループAはブラジル、カメルーン、メキシコ、グループBはスペイン、チリ、豪州、グループCはコロンビア、コートジボワール、日本、グループDはウルグアイ、イタリア、コスタリカ、グループEはスイス、エクアドル、ホンジュラス、グループFはアルゼンチン、ナイジェリア、イラン、グループGはドイツ、ガーナ、米国、グループHはベルギー、アルジェリア、韓国となった。
■ホンジュラス、スイス、エクアドルと対戦するグループE
いよいよここでフランスの所属するポット4の抽選となるわけだが、なんといっても避けたいのはウルグアイとイタリアのいるグループDである。イタリアは元来はフランスと同じポット4であり、同じグループになる可能性が通常であるならばなかったわけであるが、今大会特有のシステムで実質的にポット2に回り、フランスと対戦する可能性が出てきた。また、予選で負け越したスペイン、南米のチリのいるグループBも避けたいグループである。そしてディディエ・デシャン監督の体制になってから戦って敗れた国がこのワールドカップ出場国の中に5か国ある。ウルグアイ、スペイン以外に日本、ブラジル、ドイツである。
そしてフランスはかなり恵まれた抽選結果となった。グループEに入り、これまで対戦経験のないホンジュラス、前回大会の予選と本大会でも戦い、3引き分けのスイス、これまで1戦1勝のエクアドルの順に対戦するのである。(この項、終わり)