第1647回 2014年ワールドカップ展望(4) 開催国ブラジル、前回のファイナリストのスペインとオランダ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■グループリーグ、決勝トーナメントを戦うワールドカップに優勝の行方

 前回の本連載では組み合わせ抽選に恵まれたグループEのフランスとグループFのアルゼンチンが準々決勝に進出する可能性が高いことを紹介したが、今回からは決勝トーナメント進出チームと優勝の行方について紹介していきたい。
 多くの人々が優勝は前回優勝国で欧州チャンピオンのスペイン、ブラジルに代わって南米の盟主となりつつあるアルゼンチン、若いタレントが輩出し、従来とイメージチェンジしたドイツ、開催国のブラジル、世界最速で予選突破を果たした日本の中から優勝国が出ると思われているであろう。32チームがホームアンドアウエー方式で試合を行えば、そのようなチームが優勝するかもしれないが、ワールドカップは欧州のシーズンオフに1か国に集まり、4チームずつのグループリーグを戦い、その後にトーナメント方式で優勝を争うものである。しかも今回の大会は前回同様南半球での開催であり、北半球とは気候が逆になる。このような条件も勘案しながら優勝国を占っていきたい。

■開催国ブラジルが頭一つリードするグループA

 まず、4チームに分かれて行われるグループリーグについては決勝トーナメント進出国をグループAから順に予想してみよう。グループAはポット1から開催国のブラジル、ポット2はカメルーン、ポット3はメキシコ、ポット4はクロアチアという顔ぶれである。このグループはまずブラジルがリードし、それを追ってクロアチアとメキシコ、そしてカメルーンは厳しい位置にいる。開催国のブラジルを推したいところであるが、問題はブラジルが開幕戦に登場し、さらにその相手がクロアチアということである。ブラジルがこの開幕戦を難なく乗り切れば、残り2試合も問題はなく、3連勝でグループ首位となるであろう。一方、クロアチア相手に黒星、あるいは引き分けたとしても苦戦した場合は、首位突破の行方は分からなくなる。またクロアチアについても当面のライバルはメキシコであるが、ブラジル戦で完敗するようだとマナウスに移動して行われるカメルーン戦でも簡単に勝ち星を得ることはできないであろう。

■前回の決勝進出チームのスペインとオランダが激突するグループB

 そしてグループAで勝ち上がったチームが決勝トーナメント1回戦で対戦するのがグループBから勝ち上がったチームである。グループBはポット1からスペイン、ポット2はチリ、ポット3は豪州、ポット4はオランダである。このグループBには前回の決勝戦を戦ったスペインとオランダが入ることになった。順当にいけば、このグループBからはスペインとオランダが勝ち抜くであろう。スペインも4年前の優勝時、あるいは2年前の欧州選手権優勝時の力はなく、オランダも同様であるが、南半球組のチリや豪州よりチーム力は上であると見ていいだろう。

■決勝トーナメント1回戦の相手を選ぶことができるグループAのブラジル

 ここでグループBから決勝トーナメント進出が予想されるスペインとオランダは決勝トーナメント1回戦のことも考えたいところである。グループAは前述の通りブラジルの力が頭一つ抜けており、開催国ブラジルと決勝トーナメント1回戦で対戦したくはないであろう。ブラジルとの対戦を回避したいところであるが、両グループのグループリーグ最終戦は同じ6月23日に行われるがグループBの豪州-スペイン戦とオランダ-チリ戦は13時キックオフ、一方のグループAのカメルーン-ブラジル戦とクロアチア-メキシコ戦はそれより遅れて17時にキックオフされる。すなわち、グループBのチームが開催国ブラジルとの対戦を回避することはできず、逆に開催国ブラジルは前回のファイナリストのどちらと決勝トーナメント1回戦で対戦することを選ぶことができるのである。
 しかし、ブラジルはクロアチア、メキシコ、カメルーンと力のあると目される順に対戦していく。ブラジルは60年ぶりでの地元開催でグループリーグからフルスロットルであろう。今大会グループリーグ屈指のカードとなるスペイン-オランダ戦は第1戦、この試合で負けた方が決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦する公算が強そうである。(続く)

このページのTOPへ