第1648回 2014年ワールドカップ展望(5) 激戦区グループDからウルグアイとイタリア
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■グループCで一歩リードするコロンビア
前回の本連載では開催国ブラジルの所属するグループAと前回の優勝国スペインと準優勝国のスペインの所属するグループBについて紹介したが、今回はグループCとグループDを展望しよう。
グループCは第1ポットからコロンビア、第2ポットからコートジボワール、第3ポットから日本、第4ポットからギリシャである。この4チームのうち、一歩あるいは二歩リードしているのがコロンビアである。本来は1986年に本大会を開催する予定であったが、経済状況の悪化によって開催を返上、1998年フランス大会以来の出場、初出場のボスニア・ヘルツェゴビナを除くと今大会で唯一今世紀に入って初めての出場する国である。しかし、着実に力をつけシード入りである。
■最終戦でコロンビアと戦う日本が有利
追う3か国は甲乙つけがたい。コートジボワール、ギリシャは主力選手はベテランであり、数年前の力はない。日本にも十分勝機はあり、2位争いが焦点となる。ここで注目したいのは試合順である。グループCの最終戦は6月24日の17時にキックオフされる。グループCから勝ち上がった国は決勝トーナメント1回戦でグループDからの勝ち上がり国と対戦するが、グループDの最終戦は同日の13時にキックオフされる。しかも後述する通りグループDはウルグアイ、イタリア、イングランドと強豪国が集中した。したがってグループCで優位なコロンビアは最初の2試合で勝ち点6を確保して、最終戦は決勝トーナメントの相手も考えながら試合を行うことも考えられる。そしてこのコロンビアの最終戦の相手は日本、試合順にも恵まれた日本がコロンビアに次いで2位に入るであろう。
■最大の激戦区グループ
今大会最大の激戦区となったのがグループDであることに異論はないであろう。ウルグアイ、コスタリカ、イタリア、イングランドという顔ぶれは3つのチームがポット1から入ったかのように見える。実際にはウルグアイがポット1、イタリアは抽選でポット4からポット2に回り、イングランドがポット4、コスタリカがポット3である。ウルグアイ、イタリア、イングランドの3チームの争いであるが、3強1弱となった場合の1つの戦略として、3強相手は引き分けを狙い、1弱相手の試合で大量得点を狙うというものである。日本の皆様には競技は違うが1995年のラグビーのワールドカップで日本がニュージーランド、ウェールズ、アイルランドと同グループに入り、ニュージーランド相手に大敗したことを思い出される方もいらっしゃるであろう。
■イタリアとウルグアイが決勝トーナメント進出か
コスタリカとまず対戦するのがウルグアイ、ウルグアイはここで大量得点を奪いたいところである。逆にコスタリカ戦が最終戦となっているのはイングランド、それまでの2試合で最低2引き分け以上の成績を残すことがイングランドには必要である。首位争いは微妙であるが、イタリアとウルグアイが決勝トーナメントに進出するであろう。
このように考えると、グループCからはコロンビアと日本、グループDからはイタリアとウルグアイが決勝トーナメント進出の候補である。ここでグループCのコロンビアがイタリアを選択するのか、ウルグアイを選択するのか、ということについて考えてみよう。
コロンビアとウルグアイは南米予選で戦っているが、2012年9月にコロンビアで行われた試合ではコロンビアが4-0と大勝したが、2013年9月のウルグアイでの試合は2-0とウルグアイが勝利している。ブラジルは中立地とはいえウルグアイの方が近く、ウルグアイが2位突破となった場合、決勝トーナメント1回戦はウルグアイから地の利のいいリオデジャネイロで行われる。またウルグアイは今大会予選こそプレーオフ経由であったが南米選手権では最多の15回の優勝を誇る。グループDでイタリアが首位突破し、ウルグアイが2位にとどまった場合は、コロンビアは首位突破を回避することも考えられるであろう。
しかし、このグループCとグループDからの8強入りはイタリアとウルグアイであろう。(続く)