第1650回 2014年ワールドカップ展望(7) 準々決勝初日はフランス-ロシア、ブラジル-ウルグアイ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■タフなチームが優勝の条件

 これまで6回の本連載で8強入りの候補はグループAからブラジル、グループBからはスペインとオランダ、グループDからウルグアイとイタリア、グループEからフランス、グループFからアルゼンチン、グループGからドイツ、グループHからベルギーとロシアであると紹介してきた。今回はいよいよ優勝の行方を占ってみたい。
 ワールドカップで優勝するためにはグループリーグで上位2チームに入り、ノックアウト方式の決勝トーナメントで4回勝ち抜く必要がある。しかも今回は南半球のブラジルでの開催であり、有力チームのほとんどの選手がプレーする北半球とは季節が逆転する。さらに今大会は1994年の米国大会に次ぐ長距離移動を強いられることもある。通常に増してタフなチームが栄冠を勝ち取ることになる。

■早目に日程を消化する開催国ブラジルのグループA

 これまでの連載でもその都度とり上げてきたが、32チームの争うワールドカップの本大会において最初に第1戦を行うチームと最後に第1戦をスタートするチームの間には5日間の差がある。それどころか、一番遅く第1戦を迎えるグループHのロシア-韓国戦がキックオフされるのはグループAの第2戦となるブラジル-メキシコ戦の終了後になる。すなわち、ブラジルやメキシコが2試合消化した段階でまだ試合を1試合も行っていないチームもあるのである。
 また、グループリーグが終わってから決勝トーナメントに至るまでに最も間隔があくのはグループAの2位チームとグループBの首位チームは中5日であるが、逆にグループGの首位チームとグループHの2位チームは中3日で決勝トーナメントを迎える。
 さらにこのグループGの首位チームとグループHの2位チームの試合は最南端のポルトアレグレで行われるが、グループGとグループHの最終戦は内陸部のブラジリア、大西洋岸のレシフェ、サンパウロ、クリチバで行われる。クリチバやサンパウロはポルトアレグレに近いが、ブラジリア(グループG:ポルトガル-ガーナ戦)、レシフェ(グループG:米国-ドイツ戦)から移動するグループGから首位になったチームは厳しいものがある。グループGからはむしろ2位になればレシフェに近いサルバドールで1日多くのインターバルで試合を行うことができる。

■準々決勝第1試合、フランスの相手は伏兵ロシア

 準々決勝最初の試合は7月4日13時、グループEの首位とグループFの2位の勝者とグループGの首位とグループHの2位がリオデジャネイロで対戦する。このカードは第1645回と第1646回で紹介した通り、前者はフランスが有力である。問題はドイツがグループGの首位となり、さらに1回戦を勝ち抜くことができるかである。むしろここは、移動距離が少ないロシアがグループHの首位をベルギーに譲ってグループGの首位に勝つと予想する。
 この準々決勝の第1試合は7月4日に行われる。7月4日は米国の建国記念日である。この記念すべき日に米国も試合をしたいところであるが、グループGの首位になり、さらに決勝トーナメント1回戦でグループHの2位に勝たなくてはならない。グループGにはドイツ、ポルトガルという欧州の強豪が控えており、米国の首位は難しいであろう。しかし、次回の本連載で紹介する通り、今回の大会は長距離移動が伴い、さらにグループGやグループHは決勝トーナメントとのインターバルが短く、かつてのドイツを思わせる魂のサッカーを行う米国は、建国記念日の準々決勝は難しくとも、欧州の2強を脅かす存在にはなるであろう。

■準々決勝第2試合は開催国ブラジルと南米で強いウルグアイ

 そして準々決勝第2試合は7月4日17時にグループAの首位とグループBの2位の勝者とグループCの首位とグループDの2位の勝者がフォルタレザで対戦する。前者は開催国のブラジルが濃厚であるが、後者は強豪のそろったグループDの2位はグループCで力の抜きんでたコロンビアを上回るであろう。そして南米では力を発揮するウルグアイがグループリーグでイタリアを押さえ、決勝トーナメント1回戦でコロンビアを下し、開催国との1戦に挑むであろう。(続く)

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