第1718回 スイス相手にゴールラッシュ(2) 100得点目はオリビエ・ジルー、スイス相手に大量点
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■予選、本大会通じて不敗だった2006年の両国
グループEで初戦を勝利したフランスとスイスの直接対決は6月20日午後4時のキックオフである。5時間の時差があるフランスでは午後9時、金曜日のゴールデンタイムということで大きな注目を集めた。そしてもちろん隣国であるスイスも同様である。
ここまでフランスとスイスの対戦成績はフランスの15勝9分12敗とフランスがやや優勢である。そしてフランスとスイスは前回のワールドカップでは予選でも本大会のグループリーグでも対戦している。予選はホーム、アウエーとも引き分け、そして本大会でも引き分けている。直接の対戦は3戦3分となったが、予選の成績はフランスが5勝5分で勝ち点20で首位、スイスは4勝6分の勝ち点18で2位、両チームが本大会に出場している。そして本大会の成績はグループリーグではスイスが2勝1分で首位通過、フランスは1勝2分で2位通過であったが、結局スイスは決勝トーナメント1回戦でウクライナと延長の末引き分け、PK戦は3人全員が失敗し、ドイツを去っている。片やフランスは決勝に進出し、イタリアに敗れたものの準優勝に輝いている。フランスも決勝でイタリアにPKで敗れており、スイスもフランスも予選、本大会通じて1度も負けていなかったということは注目すべきである。
2004年の欧州選手権でもグループリーグで対戦し、フランスが勝利、その前年の親善試合でもフランスが勝利しており、スイスの最後の勝利は1992年の親善試合までさかのぼらなくてはならない。
フランスにとって相性のいいスイスであるが、スイスのオットマー・ヒッツフェルト監督は隣国との戦いに闘志を燃やしている。
■オリビエ・ジルーをCFに起用、カリム・ベンゼマを左サイドに
フランスのディディエ・デシャン監督がサルバドールのフォンチェ・ノバ競技場に送り出した先発メンバーは以下の通りである。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からマチュー・ドビュッシー、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコー、パトリス・エブラ、MFは3人で中央の低めに位置にヨアン・カバイエ、右にムーサ・シソッコ、左にブレーズ・マツイディ、FWは中央にオリビエ・ジルー、右にマチュー・バルブエナ、左にカリム・ベンゼマとなり、第1戦と比較するとポール・ポグバの位置にシソッコが入り、FWはアントワン・グリエズマンが外れ、ベンゼマが左サイドに移り、中央にジルーが入る。これは8-0と多少したジャマイカ戦と同じ攻撃陣の布陣である。
■フランスのワールドカップ100点目はジルーのヘディングシュート
フランスは第1戦のホンジュラス戦の3得点でワールドカップ通算99得点となり、このスイス戦では歴史的な100点目を誰があげるかが注目されていた。
堅守のスイスであるが開始早々にストッパーのスティーブ・フォンベルゲンが負傷退場、守りの要を失ったことがリズムを狂わせる。17分にフランスはバルブエナが蹴った右からのCKはファーポストのジルーに合わせる。ジルーはヘディングで豪快に先制点をあげる。これがフランスのワールドカップにおける100得点目となった。ちなみにこれはブラジル、ドイツ(西ドイツ)、イタリア、アルゼンチンに次いで4か国目となる。
■勢いの止まらないフランス、大量5得点で2連勝
さらにその直後の18分、スイスの不用意なパスを奪ったベンゼマがドリブルで中央突破、ラストパスは左側を駆け上がったマツイディにラストパスを渡し、マツイディが左足でゴール、スイスはまさかの2失点である。
そしてフランスの勢いは止まらない。前半40分にスイスに押し込まれたフランスであるが、相手ボールを奪ったバランがジルーにロングパス。左サイドを走ったジルーはボールに追いつき、クロスを入れて電光石火のバルブエナのシュート、前半を3-0と折り返す。
後半も67分、右サイドからポグバがクロスを入れ、ベンゼマが右足で蹴り込んで4-0、さらに73分には中央でボールを持ったベンゼマが右から走り込んできたシソッコにパスを出し、シソッコが5点目を入れる。
大量5点のリードとなったが、得失点差を縮めておきたいスイスは81分にゴール正面のFKからブレリム・ジェマイリが直接決め、87分にグラニト・ジャカがボレーシュートでゴール、しかし反撃も遅く、フランスは5-2というスコアで2勝目をあげたのである。(この項、終わり)