第1722回 ナイジェリアに勝利(1) 初めて決勝トーナメントでアフリカ勢と対戦

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスとの対戦を避けたいグループFのチーム

 グループEを2勝1分の首位で通過したフランス、決勝トーナメント1回戦の相手はグループFの2位通過チームである。最終戦を迎える段階のグループFであるが、予想通りシード国のアルゼンチンがエースのリオネル・メッシの活躍によって第1戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦とイラン戦に連勝して勝ち点6でグループリーグ突破を決めている。2位は1勝1分のナイジェリアが勝ち点4、3位はナイジェリアと引き分けたイラン、4位は2敗のボスニア・ヘルツェゴビナである。最終戦で首位のアルゼンチンとナイジェリア、3位のイランと4位のボスニア・ヘルツェゴビナが対戦する。
 グループFの最終戦はグループEと同日の6月25日であるが、キックオフは13時であり、17時キックオフのグループEよりも先に試合が行われる。したがって、グループFのチームは決勝トーナメント1回戦で対戦するチームを選ぶことはできないが、これまでの本連載で紹介してきたとおり、グループEの首位はこの時点でフランスが有力であった。ここまでの試合ぶりを見る限り、調子の波に乗っているフランスと決勝トーナメント1回戦で対戦することは避けたいのがグループFから決勝トーナメントに進むチームの本音であろう。
 アルゼンチンは引き分け以上でグループ首位、ナイジェリアはアルゼンチンに勝利すれば首位になる。逆にナイジェリアは引き分ければグループリーグ2位となるが、敗れた場合、イランがボスニア・ヘルツェゴビナに勝利すれば勝ち点4で並び、グループリーグ敗退となる。したがって、両チームともモチベーションの高い中で試合が行われた。

■エースのリオネル・メッシの2ゴールで前半を折り返す

 開始早々の2分、アルゼンチンのアンヘル・ディマリアのシュートがゴールポストに当たる。はね返ってきたところをメッシがシュートしてアルゼンチンが先制する。メッシはこれでグループリーグの3試合ですべて得点を入れている。ところがその直後の4分、今度はナイジェリアがカウンターから同点に追いつく。小柄なマイケル・ババトゥンデからのパスを左サイドで受けたアーメド・ムサが右足でファーポストぎりぎりに入るシュート、このゴールでナイジェリアは試合を振り出しに戻す。前半のロスタイムに勝ち越し点を奪ったのはまたもエースのメッシであった。ペナルティエリアの外、ゴールまで約25メートルの位置のFK、メッシの左足のシュートは緑の壁を越え、ゴールネットを揺らした。

■敗れたナイジェリアと対戦するフランス

 この一撃で勝負あったか、と思われたがナイジェリア、アフリカの雄である。後半に入って間もない47分、ムサはエマニュエル・エメニケとの間でワンツーパスを交換、ムサの目の前はアルゼンチンのGKセルヒオ・ロメロと1対1になる。この好機を逃さず同点ゴール。しかし、試合を決めた決勝ゴールはその3分後、アルゼンチンは左CKのチャンス、エセキエル・ラベッシからのCKをマルコス・ロホが決めて勝ち越す。結局3-2でアルゼンチンが勝利し、ナイジェリアが敗れるが、もう1試合はボスニア・ヘルツェゴビナが勝利し、ナイジェリアは2位に滑り込む。2位ナイジェリアがグループEの首位のフランスと決勝トーナメントで対戦することになったのである。

■アフリカ勢とは5大会連続5回目の対戦

 フランスにとってワールドカップでアフリカのチームと対戦するのはこれが5大会連続5回目のことである。最初は1998年大会のグループリーグの南アフリカ戦、この試合は第1戦であったがフランスは3-0と快勝する。続いて2002年大会でもグループリーグの第1戦はアフリカ勢のセネガル戦である。しかし、この試合で0-1と敗れたフランスは続く試合も精彩を欠き、1分2敗でグループリーグで敗退する。2006年大会はグループリーグ最終戦でトーゴと対戦する。スイスと韓国に引き分けたフランスはようやくこのトーゴ戦で2-0と初勝利、韓国をかわして2位になり、準優勝することになる。2010年大会もグループリーグ最終戦で南アフリカと対戦するが、チームが崩壊し、1-2と敗れてしまう。
 このように過去4大会のアフリカ勢との対戦は2勝2敗であるが、今回初めて決勝トーナメントでアフリカ勢と対戦するのである。(続く)

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