第2094回 本年最後となる11月の連戦(3) スウェーデンとの首位攻防戦で逆転勝利
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■両チームともこの一戦にかける11月11日の直接対決
勝ち点7で並ぶスウェーデンとの一戦、フランス代表のスタッド・ド・フランスでの今年最後の試合となる。11月には国際試合が11日と15日に2試合予定されている。フランスは11日のスウェーデン戦の後には15日にコートジボワールと親善試合が予定されているが、スウェーデンも同様にハンガリーとの親善試合を15日に行う。そういう点で両チームともこの予選の試合で力を出し切り、親善試合で来年に向けたテストをしたいところである。
■手堅いメンバーをそろえたフランス
フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、パトリス・エブラ、守備的MFは右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディとなる。攻撃的MFは右にムーサ・シッソコ、中央にアントワン・グリエズマン、左にディミトリ・パイエ、そして1トップにオリビエ・ジルーという布陣であり、右サイドDFのシディベを除くと欧州選手権時のベストメンバーに落ち着いた。また左サイドDFはエブラを起用する。この10年間フランスのこのポジションを支えてきたこの大ベテランに代えて他の選手を起用するのは勇気のいることである。このメンバー起用を見てもディディエ・デシャン監督がこの試合での勝ち点3を熱望していることがうかがい知れる。
一方のスウェーデンは2トップの一角に前回の本連載でも紹介したオラ・トイボネンが占め、ズラタン・イブラヒモビッチが去った攻撃陣を支える。
試合は昨年11月13日に起こったパリ同時多発テロから1年たったことから1分間の黙祷を捧げてからキックオフされた。スタンドにはフランソワ・オランド大統領の姿も見える。テロ事件のあったドイツ戦の後、サッカーのフランス代表はスタッド・ド・フランスで5試合行っているが、この間の戦績は4勝1敗である。そして2-0で勝利したドイツ戦以降、毎試合失点しており、そろそろクリーンシートでの勝利を見たいところである。
■守勢のスウェーデン、エミル・フォルスベリの無回転シュートで先制
最初に得点機を作ったのはスウェーデンであった。10分にフランスのシディベのミスからゴール前でチャンスを作るが、最後のフィニッシャーがおらず、先制点は逃す。フランスは守備の不安がぬぐえない。フランスのファーストシュートは14分、パイエが放つが、GKに押さえられる。その直後にもフランスはチャンスをつかみ、得点には至らないものの、パス回しによるボール保持率は高く、試合を支配することになる。前半はフランスがよく攻めたものの、7本のシュートのうち枠内へは1本しか飛ばず、片やスウェーデンは枠内に飛んだシュートはゼロ、両チーム無得点でハーフタイムを迎える。
後半に入るとスウェーデンは守りを固めた陣形でフランスの攻撃陣に対峙する。このカウンター狙いの戦いが功を奏する。スウェーデンは54分にゴールから30メートル弱の地点でFKを得て、このFKをエミル・フォルスベリが蹴る。ドイツのライプチヒを2部から1部に昇格させた原動力となったフォルスベリは強豪チームが触手を伸ばす逸材である。そのフォルスベリの無回転のシュートにロリスは反応しきれず、ゴールネットが揺れ、フランスは先制点を許す。
■ポール・ポグバ、ディミトリ・パイエのゴールでフランスが逆転勝利
これに対して58分、フランスは左サイドからのFKをパイエが蹴り、バランがヘディングしたボールはポグバの頭に当たり、そのままゴールに吸い込まれた。フランスは同点に追いついた。このあたりからスウェーデンの守備が集中力を失う。
65分にはシディベがクロスをゴール前にあげ、これをグリエズマンとスウェーデンのGKが競り合い、こぼれたボールをパイエが右足でシュートを決め、フランスは逆転する。逆転されたスウェーデンは目が覚めたように果敢に攻めるが、フランスの守備陣が持ちこたえ、2-1でフランスが勝利し、首位攻防戦を制したフランスは勝ち点を10に伸ばし、単独首位に立ったのである。(続く)