第2238回 ベラルーシに勝利し、予選突破(2) ベラルーシ戦の柱となる予選を支えてきた主力
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■楽観視できない相手、ベラルーシ
ブルガリアにアウエーで勝利し、単独首位に立ったフランス、世界の注目は前回大会で3位のオランダが予選落ちの危機に瀕し、スウェーデンとのホームゲームにかすかな望みを託す一戦に集まっているが、フランス国民は久しぶりのプレーオフを経験しない本大会出場を望んでいる。
ベラルーシは直前の試合でオランダに1-3と敗れているが、55分に追いつき、その後は1-1の対スコアで試合が進んだが、84分にPKで勝ち越し点を許し、92分にデパイが追加点を決めるという展開であった。すでに本大会出場の可能性が残っていないベラルーシは、生き残りをかけたオランダとほぼ互角の試合を演じたのである。さらにベラルーシに対し、フランスの戦跡は5戦して2勝2分1敗である。決して楽観視できない相手である。
■守備の要はナンシーのGKのセルゲイ・チェルニク
ベラルーシに対し、ディディエ・デシャン監督は組織的な守備をするチームという評価をしている。その要となるのがGKのセルゲイ・チェルニクである。ベラルーシの強豪であるBATEボリコフからナンシーに移籍してきて2シーズン目である。メンタルの強さがセールスポイントであり、フランスで行われる代表戦ということで並々ならぬ意欲を見せている。所属チームのナンシーは近年は1部に定着しているが、BATEボリコフのように欧州カップに出場するレベルのチームではない。またスタッド・ド・フランスで試合をしたのは2006年のリーグカップ決勝が最初で最後、チェルニクが生活しているフランスで自らの力を発揮するまたとないチャンスである。
■予選での得点力は物足りないフランス
一方のフランス、ホームで勝利すれば本大会出場という条件ではあるが、引き分け以下の場合はスウェーデンに逆転される可能性もあり、極度の緊張の下での戦いとなる。気になるのはこの予選での得点力の低さである。ここまで9試合戦って16得点、1試合平均で2点に満たない。予選という性格上、力のかなり離れた相手との対戦もあるため、あまり参考にならないかもしれないが、この得点力は予選出場国で15番目と決して高い数字ではない。ベルギーやドイツは1試合あたりの平均得点が4を越えているのである。
■新戦力を求めるディディエ・デシャン監督、予選を支えてきた主力メンバー
そしてデシャン監督にとっての目の前の目標は予選突破であるが、来年の本大会での好成績が最終目標である。そのためには大会まで1年を切った現時点での新たな血が欲しいところである。実際には代表初招集の選手はいないが、代表戦の経験の乏しい選手の思い切った起用はデシャン采配の妙である。ブルガリア戦の場合はルカ・ディーニュ、コランタン・トリッソ、アレクサンドル・ラカゼットと最近の代表の試合から遠ざかっている選手を起用した。
一方、昨年の9月にワールドカップ予選が始まってからチームの柱として起用し続けている選手もいる。それが主将のウーゴ・ロリス、右サイドDFのジブリル・シディベ、ストッパーのローラン・コシエルニー、攻撃陣のアントワン・グリエズマンであり、ほとんどの試合に出場している。
特にDFラインの2人は数字がその活躍を物語っている。シディベは昨年9月以来全12試合に出場、うち11試合で先発している。1対1の競り合いに強く、その競り合いでのボール奪取率、タックル成功率は守備陣で最高の数字を示している。これに次ぐ数字を残しているのがコシエルニーであり、出場数は全12試合出場(10試合先発)、1対1での競り合いでのボール奪取率もタックル成功率もシディベに次ぐ2位である。
攻撃陣のグリエズマンもこの1年の得点数についてはナンバーワンの座をオリビエ・ジルーに譲っているが、枠内シュート数ではナンバーワンである。
これらの予選を支えてきた選手たちが、最後の戦いにも先発として登場したのである。(続く)