第2239回 ベラルーシに勝利し、予選突破(3) 選手起用が的中、ロシア行きが決定

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■若く、キャリアも少ないが、監督の信頼の厚い最終ライン

 グループA最後の試合の先発メンバー、ディディエ・デシャン監督の選手起用が注目を集めた。守備陣であるが、GKは主将のウーゴ・ロリス、まだ30歳であるが、すでにこれまでに92試合出場しており、さらに主将として74試合の経歴を持つ。スティーブ・マンダンダ以下の控えのGKには残念ながら出場のチャンスがない。最終ラインのDFは4人で右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、ルカ・ディーニュというメンバーである。この中で最年長はシディベの25歳、そして最多出場歴を誇るのはバランの38試合であり、他の3人の出場数は20試合以下、極めて若く、キャリアの少ない守備陣である。しかし、前回の本連載でも紹介した通り、予選の始まった昨年の秋からはこの4人が最も出場機会が多く、首脳陣の信頼も厚い。

■中盤の底の2人が入れ替わり、コランタン・トリッソとブレーズ・マツイディ

 ここまでは予想通りのメンバーであったが、8月末のオランダ戦同様、中盤より前はサプライズの選手起用となった。まずは攻撃陣を1トップにするか、2トップにするか、ということがファンの関心事である。1トップか2トップかで中盤のフォーメーションが変わってくる。デシャン監督は2トップを選択、したがって中盤は4人となった。中央の2人が低めの位置、両サイドの2人が髙めの位置となり、今予選のこれまでのベストゲームと言える8月31日のオランダ戦と同じシステムである。中央はコランタン・トリッソとブレーズ・マツイディ、右にはキングスレー・コマン、左にはトマ・ルマール、そして2トップは右にアントワン・グリエズマン、左にオリビエ・ジルーとなる。オランダ戦とは中盤の中央の2人がポール・ポグバとエンゴロ・カンテから入れ替わった。ポグバは負傷、カンテも負傷に加えてパスの成功率が低いため、トリッソとマツイディの2人となったが、この2人がコンビを組むのは初めてである。大一番で守備的MFを入れ替え、初コンビに任せるというのは思い切った決断である。

■2トップはアントワン・グリエズマンとオリビエ・ジルー

 そして2トップにはキリアン・ムバッペを待望する声も少なくなかったが、所属クラブでのパフォーマンスを代表チームでは発揮できない。また、前回の本連載で紹介した通り、代表での得点ランキングトップはジルー、そしてグリエズマンは枠内シュート数でナンバーワンである。

■監督の選手起用が的中し、6大会連続出場を決める

 このデシャン監督の選手起用は見事に的中した。フランスが立ち上がりから圧倒し、パスを次々とつなげて試合を支配する。しかし、試合を優勢に進めてもゴールが奪えなくてはルクセンブルク戦と同じ結果となる。この試合、27分にトリッソからマツイディにパスがつながり、ベラルーシの守備陣の間に走りこんだグリエズマンにスルーパス。これを左足でシュートし、ナンシーのGK、セルゲイ・チェルニックの股間を抜く先制ゴールとなる。7万5000人の観衆が歓喜する。そして33分にはもう1人のFW、ジルーが追加点を決める。この追加点にもグリエズマンがからんでいる。グリエズマンがベラルーシのクリアボールを拾ってジルーにラストパスをつないだ。ジルーの左足のシュートは代表通算28ゴール目となる。ジルーは代表68試合で28ゴール、代表通算ゴール数で並んでいたカリム・ベンゼマを抜いて歴代7位となった。代表戦出場81試合で27得点のベンゼマ待望論もこれで鎮静化するであろう。
 これに対し、ベラルーシは44分にアントン・サロカが1点返し、1点差で後半を迎える。後半に入ってベラルーシが立て直し、フランスが守勢に追い込まれることもしばしばあった。64分にサロカがチャンスを得るが、ロリスが好守備を見せる。
 フランスは守りきり、6大会連続出場を決め、2006年大会以来3大会ぶりにプレーオフを経験しなかったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ