第2342回 親善試合3戦無敗で本大会へ(1) プレーオフで敗退したアイルランドと対戦

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1月かけてチームを熟成させていくディディエ・デシャン監督

 5月17日にディディエ・デシャン監督が発表したワールドカップメンバー23人、代表経験の少ない選手が多数選出され、ファンの驚きを誘った。
 今回のワールドカップ、フランスはグループCで豪州、ペルー、デンマークの順に対戦する。5月時点の世界ランキングだけを考えれば、フランスの7位に対し、豪州は40位、ペルーが11位、デンマークは12位であり、照準を合わせるのは6月21日のペルー戦以降であろう。そう考えると5月17日のメンバー発表から1月以上かけてチームを完成させていけばよい。

■予備メンバーに不満なアドリアン・ラビオが代表入りを拒否

 フランス代表は5月23日から合宿入りした。この時にちょっとした問題が起こった。23人のメンバーと11人の予備メンバーのうち、チャンピオンズリーグの決勝に出場するスペインのレアル・マドリッドに所属するラファエル・バラン以外がクレールフォンテーヌに集合するはずであった。しかし、予備メンバーに回ったアドリアン・ラビオがこの決定を不服としてデシャン監督に予備メンバーとしての登録拒否、合宿不参加の連絡が入った。まだ23歳、代表出場歴6試合のラビオは世論を敵に回した形となり、フランス代表は予定より1人少ないメンバーで合宿入りした。

■本大会前に国内で3つの親善試合

 今回も本大会前に3試合親善試合を行う。5月28日にスタッド・ド・フランスでアイルランド戦、6月1日にニースでイタリア戦、6月9日にリヨンで米国戦というスケジュールである。今回もすべての親善試合を国内で行った。2016年の欧州選手権は自国開催で直前の親善試合2試合を国内で行ったが、2014年のワールドカップブラジル大会も国内で3試合、2012年欧州選手権ポーランド・ウクライナ大会の直前も国内で3試合を行った。フランスが国際大会前の親善試合を国外で行ったのは惨敗したワールドカップ南アフリカ大会前にチュニジアとレユニオン(正確にはフランス国内の海外県であるが)で行ったのが最後である。また、今回も本大会に出場しない国のみとの対戦となった。
 この親善試合3試合と豪州戦の4試合の中で、代表経験の少ない選手の経験値を高め、チームとして成熟させていき、決勝トーナメントで対戦すると思われる強豪相手に伍する力をつけていくことを狙っているはずである。

■ワールドカップ出場を逃し、メンバーを入れ替えたアイルランド

 その親善試合第一幕は本拠地スタッド・ド・フランスでのアイルランド戦である。アイルランドは、近年はワールドカップにあと一歩で届かない状況が続いている。今回のワールドカップ予選もグループDでセルビアにわずか及ばず2位となる。プレーオフでデンマークと対戦し、第1戦はアウエーのコペンハーゲンでスコアレスドローに持ち込んだが、ダブリンでの第2戦では1-5と大敗を喫してしまう。2002年の日本・韓国大会を最後にアイルランドはワールドカップ出場を果たしていない。
 ロシア行きを逃したアイルランドはメンバーを大幅に入れ替えて再起を期す。アイルランドは5月末から6月にかけてフランス、米国と対戦するが、24人のメンバーのうち7人は代表出場経験のない選手である。しかし、CFのシェーン・ロング、左ウイングのジェームズ・マクレーン、右サイドDFのシーマス・コールマンなどはプレミアリーグでもおなじみのベテラン選手である。そしてチームを率いるのは北アイルランド出身のマーチン・オニール、北アイルランドが唯一ワールドカップに出場した1982年スペイン大会で主将を務め、数多くのクラブでの監督経験を経て、2013年からアイルランドの監督になっている。代表監督として最初の仕事の2016年の欧州選手権は予選を突破し、本大会でも決勝トーナメントにチームを率いたが、今回のワールドカップは出場権を逃し、フランス、米国との連戦は再起に向けた第一歩となる。
 アイルランドの先発メンバーのうち代表経験がないのは左サイドDFのデリック・ウィリアムズだけであるが、代表出場歴が10試合以下というのはウィリアムズを含めて7人となる。(続く)

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