第2350回 ペルーを下し、決勝トーナメント進出確定(2) 決勝トーナメント進出がかかったペルー戦

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■第1戦は主導権を握りながらデンマークに敗れたペルー

 過去1年半無敗というペルー、36年ぶりとなったワールドカップの初戦はデンマークと6月16日にサランスクで対戦した。試合結果は0-1と勝ち点をあげることができなかったが、ペルーは試合では終始主導権を握った。シュート数も17-10、枠内シュートも6-3と圧倒しながら、前半終了間際に得たPKの失敗、カスパー・シュマイケルの好セーブとユスフ・ポウルセンの決勝ゴールの前に黒星スタートとなった。
 多彩な攻撃のバリエーションを見せた試合内容もさることながら、驚くべきは南米からサランスクに駆け付けたファンの数である。4万人の観衆の大多数はペルーから駆け付けたファンであり、大音量の声援を送った。
 このペルー最大のスターがパオロ・ゲレーロである。昨年10月の予選のアルゼンチン戦の後のドーピング検査で陽性となり、14か月の出場停止となったが、5月に出場停止期間が6か月と短縮され、ワールドカップに出場できることとなった。デンマーク戦は後半から出場したが、フランス戦は先発出場となった。

■ワールドカップでは南米勢に対し1978年以降負けていないフランス

 グループリーグの第1戦を終えて、南米勢はウルグアイがエジプトに勝利しただけで、ブラジル、アルゼンチンが引き分け、コロンビアとペルーが敗戦と良い結果を残せない。このところフランスはワールドカップ本大会での南米勢との対戦は不思議な記録を残している。本大会で南米勢相手に敗れたのは1978年のアルゼンチン大会の一次リーグのアルゼンチン戦が最後である。その後の南米勢との戦績は7戦して3勝4分(引き分けにはPK勝ち1試合を含む)と負けていない。その中には1998年の地元開催の決勝のブラジル戦の3-0という勝利もあり、1986年のメキシコ大会の準々決勝の1-1の末、PK戦で勝利という歴史に残る名勝負もある。
 さらにこのメキシコのグアダラハラでの試合でカレカが決めたゴールを最後にフランスは南米勢相手に得点を許していないのである。惨敗に終わった2002年の日韓大会、2010年大会ではグループリーグでウルグアイと対戦したが、いずれもスコアレスドロー、得点を許さず、唯一の勝ち点をあげているのである。

■36年前の唯一の対戦はペルーが勝利

 そして肝心のペルーとの対戦成績であるが、過去1試合しかしていない。南米10か国との対戦歴はブラジル(16試合)、アルゼンチン(11試合)、ウルグアイ(8試合)、チリ、パラグアイ(いずれも5試合)、コロンビア(4試合)、エクアドル(2試合)、ペルー(1試合)となっており、ボリビア、ベネズエラとの対戦歴はない。ペルーとの唯一の対戦は1982年のことである。それ以外に南米勢で対戦経験のある国との直近の対戦はいずれも2010年代である。ペルーがワールドカップに出場しなくなってからはフランスとの対戦がなくなったというわけである。そしてその唯一の対戦はスペインワールドアップの直前、ペルーがスペイン入りする前にパルク・デ・プランスで、フランスは敗れている。フランスが対戦した国の中で負けたことしかないのはペルーとセネガルだけである。

■デンマークと豪州はドロー、ペルーに勝利すれば決勝トーナメント

 ペルー戦の3時間前にグループCのもう1試合、デンマークと豪州の試合がサマラで行われた。第1戦に勝利したデンマーク、敗れた豪州の試合は、開始7分にデンマークが先制した。第1戦の勢いがそのまま出たが、そこからめまぐるしく攻守の入れ替わる試合となった。豪州も第1戦のフランス戦ではカウンターがなかなか仕掛けられなかったが、後のないデンマーク戦では果敢に攻める。フランス戦ではVARに泣いた豪州は前半の終盤にVARでPKを獲得、このPKを決めて同点に追いつく。後半も見せ場の多い試合となったが結局1-1のドローとなり、勝ち点1ずつを積み上げた。
 つまりフランスがペルーに初勝利すれば、決勝トーナメントへの進出が決定するのである。(続く)

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