第2356回 アルゼンチンとの点の取り合いを制す(3) スーパーゴールの応酬、キリアン・ムバッペの2ゴールで勝利
7年前の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■パリサンジェルマンのアンヘル・ディマリアのスーパーゴールで同点に
13分にアントワン・グリエズマンがPKで先制点をあげ、その後も追加点のチャンスのあったフランスであったが、試合は次第にアルゼンチンが支配するようになる。決してフランスが守りに入ったわけではないが、アルゼンチンはパスをつなぎ、フランスは守勢一方の展開となってしまう。
グループリーグで対戦した3チームとの地力の違いが表れたが、このアルゼンチン戦はグループリーグとの違いがある。それは相手にフランスのクラブに所属している選手がいることである。アンヘル・ディマリアとジョバニ・ロセルソの2人がパリサンジェルマンに所属している。ロセルソはまだ出番がないが、ディマリアはこの試合が3試合目の先発である。そのディマリアが41分にフリーとなり、27メートルのミドルシュートを強烈に決める。名手ウーゴ・ロリスも届かずに、ボールはネットに吸い込まれる。このディマリアのゴールはこの時点で今大会最も遠くから決まった得点であった。アルゼンチンはこの試合初めての枠内シュートが同点弾となった。
■逆転ゴールに絡んだリオネル・メッシ
追いついたアルゼンチンは勢いづいてハーフタイムを迎えた。アルゼンチンはグリエズマンのPKの原因となったファウルで警告を受けたマルコス・ロホをベンチに下げる。2枚目のイエローカードを恐れての交代である。そしてエンドの変わった後半に入ってもアルゼンチンは良いリズムで試合を進め、48分にはペナルティエリアのすぐ外でのFKのチャンスとなる。これをエベル・バネガが蹴り、フランスはポール・ポグバがクリア、しかし、そのクリアボールがリオネル・メッシの足元へ、メッシは体を回転させながら左足でシュート、このシュートが前に残っていたガブリエル・メルカドに当たり、コースが変わってロリスは動けず、アルゼンチンが逆転する。
■バンジャマン・パバールのスーパーゴールで追いついたフランス
逆転されたところでフランスにスイッチが入る。逆転されたフランスは反撃を試み、アルゼンチン陣内に攻め込むようになる。57分、フランスはルカ・エルナンデスのパスを受けたブレーズ・マツイディが左サイドからマイナスのクロスをあげる。プレッシャーの少ないエリアでボールを受けたのが右サイドDFのバンジャマン・パバール、ディマリアのシュートを再現するようなミドルシュートが決まり、フランスは同点に追いつく。
■スーパーゴールもかすむキリアン・ムバッペの2ゴールでフランス8強入り
スーパーゴールの応酬にスタジアムのボルテージは上がる。しかし、サッカーの女神は神童の存在を忘れてはいなかった。64分にはマツイディのシュートのこぼれ球をペナルティエリア内でキリアン・ムバッペが拾い、角度のない所から左足でシュート、このシュートが決まり、フランスは再びリードを奪う。
神童ムバッペの勢いは止まらない。中盤の底のエンゴロ・カンテがグリエズマンめがけてロングパス、ロングボールを受ける力のあるグリエズマンがいるからこその選択肢であり、ロングキックの精度の高いカンテがいるからこそのパスである。グリエズマンはマツイディにすかさずつなぎ、さらにジルーへと最前線でパスがつながれる。ジルーはスピードに乗って走りこんできたムバッペにパスをするだけでよかった。ムバッペは今度は右足でゴールを決める。カンテのパスからムバッペのシュートまでアルゼンチンの守備陣は全く防ぐことができなかった。
2点差で勝負あったかに見えたが、やはりボール支配に長けたのはアルゼンチンであった。フランスもファウルで相手を止めるシーンが目立ち、マツイディが警告を受け次戦出場停止となる。フランスのベンチはマツイディを下げ、コランタン・トリッソを投入し、次戦に備える。
何とか追いつきたいアルゼンチンは後半のアディショナルタイム、メッシからのクロスをセルヒオ・アグエロがヘディングで決めるが、遅すぎるゴールであった。フランスが4-3と競り勝って、準々決勝進出一番乗りを決めたのである。(この項、終わり)