第2811回 2022年ワールドカップ予選開幕(1) UEFAネーションズリーグからプレーオフへの道を開く
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州から13チームが本大会に出場する2022年ワールドカップ
3年前のワールドカップ優勝も新型コロナウイルスの感染拡大で遠い過去の話になった。この影響で、2020年に予定された欧州選手権、オリンピックは1年延期となったが、2022年のワールドカップは現時点では予定通り開催の運びである。
カタールで開催されるワールドカップについては開催時期、出場国数などについて様々な議論があったが、結局出場国数は32のままであり、欧州からは13か国が本大会に出場する。欧州予選には55チームが出場する。予選の組み合わせ抽選の方法は新型コロナウイルスの感染が始まる前の2019年12月に決定されている。2020年に開催予定であった欧州選手権の予選については2018年から始まり、2回目を迎えたUEFAネーションズリーグの成績がダイレクトに反映される仕組みとなっているが、ワールドカップ予選の組み分け抽選の段階では新たに始まったUEFA主催の大会の成績は反映されない。
■予選のグループリーグは2021年3月から10月までに集中的に開催
予選は5もしくは6つの国からなる10のグループに分けらる。このグループ分けについては、そしてFIFAランキングを元にシードが決定する。各チームは2021年3月から10月にかけてホームアンドアウエーで対戦して、上位1チームは本大会出場が決定する。これで欧州からの13チームのうちの10チームが決定する。
■プレーオフにUEFAネーションズリーグから2チームが出場
そして残りはプレーオフとなる。このプレーオフの段階でUEFAネーションズリーグの結果が関与してくる。従来は欧州に割り当てられた出場チーム数の関係で、2位チームすべてにプレーオフの出場権が与えられたわけではなかった。従来の考え方だと今回は残り3チームであるから、「2位チームのうち成績の良い6チーム」にプレーオフ出場権が与えられ、ホームアンドアウエー方式で戦った勝者が本大会出場のチケットを得ることになったであろう。しかし、この「2位チームのうち成績の良い6チーム」を選ぶ際に、グループが6チームから形成され、最弱チームが加わったグループと、5チームで形成されて最弱チームが不在のグループでの2位チームの比較は常に議論の種となる。
そこで今回の改正である。プレーオフにはすべてのグループの2位の10チームと、この段階で本大会出場もプレーオフ出場も得ていない、つまりグループリーグで3位以下のチームのうちUEFAネーションズリーグでの成績上位2チームが出場権を与えられる。このようにしてプレーオフは12チームで行われるが、12チームを4チームずつの3グループに分け、それぞれ1回戦制の準決勝、決勝をおこない、勝者3チームに欧州から最後のチケットが渡されるという仕組みになっている。
第2回のUEFAネーションズリーグは昨年9月に始まり、現在ベスト4が出そろったところである。イタリア、スペイン、フランス、ベルギーによる決勝ラウンドは10月6日から10月10日にかけてイタリアで集中開催される。
■欧州選手権とワールドカップの間の2年間の成績を反映する新方式
このワールドカップ予選のプレーオフへの道をUEFAネーションズリーグでの成績の良いチームにも開くというのは、ワールドカップ予選は直前に行われた欧州選手権以降の2年間(今回は3年間)のトータルの成績を反映すべきであるという考え方に基づくものである。かつて、ワールドカップ予選は2年間かけて行われ、その合間には多くの親善試合が行われた。UEFAネーションズリーグの創設は力の拮抗した相手との真剣試合を増やすことが目的であり、その結果として親善試合の数は少なくなるとともに、ワールドカップ予選の期間は本大会前年の半年に短縮されることになった。したがって、欧州選手権本大会の直後の半年間に行われるUEFAネーションズカップで好成績を収めても、その翌年、すなわちワールドカップ本大会の前年に行われるワールドカップ予選では調子を崩すチームもある。そのようなチームを救済するための措置であるといえるであろう。欧州の代表チームのカレンダーの変更に応じた好判断であると評価したい。(続く)