第2882回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(5) 引き分けの続くウクライナ
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■4試合連続で先制を許し、引き分けとなったフランス
決して調子がいいとは言えないボスニア・ヘルツェゴビナ相手にフランスはストラスブールで引き分けてしまった。フランスは欧州選手権のグループリーグの第2戦のハンガリー戦から通算して4試合連続で引き分けとなる(PK戦で敗れたスイス戦も引き分けとカウント)。そしていずれの試合でもフランスは先制を許している。フランスはワールドカップ、欧州選手権明けの試合では好成績を残しているが、今回のボスニア・ヘルツェゴビナ戦も最低限の成績は残すことができたが、次の相手は最大のライバルであるウクライナとのアウエーのキエフでの対戦であり、不安があることは否定できない。
■欧州選手権で準々決勝に進出したウクライナ
フランスはウクライナとはホームでは開幕戦で対戦済みである。3月24日にスタッド・ド・フランスで行われた試合は本連載第2813回と第2814回で紹介したが、アントワン・グリエズマンが先制し、プレスネル・キンペンベのオウンゴールで追いつかれ、1-1のドローとなった。フランスはこの後に行われたカザフスタン戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦というアウエーゲームで連勝したが、ウクライナはフィンランド、カザフスタンとのホームゲームでいずれも引き分けてしまい、フランスとは序盤の3試合で勝ち点4の差がついてしまった。
そして6月には欧州選手権に出場し、初戦でオランダに2-3で敗れたが、第2戦で初出場の北マケドニアに2-1と勝利する。そしてグループリーグの最終戦はオーストリアに0-1と敗れ、1勝2敗と負け越してグループリーグを終える。
通常の大会であればここでグループリーグ敗退となるが、今大会は参加国が24に増え、決勝トーナメント進出も16チーム、グループリーグで3位となったチームにも決勝トーナメントへのチケットが渡された。勝ち点3、得失点差-1のウクライナは4番目のチームとして最後のチケットをつかみ、決勝トーナメントに進出した。決勝トーナメント1回戦の相手はグループEでスペインを押さえて首位突破したスウェーデンである。スコットランドのグラスゴーで行われた試合、ウクライナは先制するが、前半終了間際に追いつかれる。試合はこのまま延長戦となり、120分を超えてPK戦での決着かと思われたが、アディショナルタイムにアルテム・ドフビクが決勝点をあげて、準々決勝進出を果たした。すなわち、欧州選手権ではフランスよりも上位に進出したのである。イタリアのローマで行われた準々決勝は準優勝するイングランドに大量得点を奪われ、0-4と敗れた。しかし、決勝トーナメント進出チームの末席でありながらグループリーグ首位突破のチームに競り勝ち、秋からのワールドカップ予選に向けて手ごたえをつかんだのである。
■ワールドカップ予選では4戦引き分けのウクライナ
ウクライナも9月1日に欧州選手権明け最初の試合を行った。ワールドカップ予選のホームでのカザフスタン戦である。欧州選手権予選の際にはホームでは5戦全勝というウクライナであったが、ワールドカップ予選ではキエフでは2引き分け、そろそろ勝ち点3が欲しいところである。しかし、ウクライナは20分に先制したものの、後半追いつかれ、1-1のドロー、結局ホームゲームは格下の3チーム相手にいずれも引き分けに終わり、最後のホームゲームで世界チャンピオンのフランスを迎えることになるのである。
■キリアン・ムバッペがチームから離脱したフランス
一方のフランスもボスニア・ヘルツェゴビナ戦は不本意な結果であったが、2位のウクライナももたつきを見せている。ところが、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦の試合終了間際に負傷したキリアン・ムバッペの状態が思わしくなく、試合の翌日にチームを離脱し、残り2試合には出場しないことになった。また、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で退場処分となり、次戦が出場停止となるジュール・クンデに代わってドイツのRBライプチヒに所属するノルディ・ムキエレがチームに合流し、代表デビューを狙うのである。(続く)