第2883回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(6) ウクライナとキエフでドロー
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■フランスが4戦して勝ったことのないキエフ
ここまで2勝2分のフランスは4分のウクライナとアウエーのキエフで9月4日に対戦した。ウクライナはホームで勝利すれば、フランスに勝ち点1差に肉薄することができる。これまでのフランスとウクライナの対戦成績はフランスが6勝4分1敗と大きく勝ち越している。
しかしフランスの唯一の敗戦は8年前のワールドカップブラジル大会予選のキエフでの戦いである。それ以来初めてフランスはキエフでウクライナと対戦する。フランスはキエフではウクライナと3回戦い、2分1敗、そして2012年の欧州選手権のグループリーグではスウェーデンと対戦して敗れている。これまで4回試合をして2分2敗、決して相性のいい場所ではない。
■ボスニア・ヘルツェゴビナ戦と先発を6人入れ替えたフランス
フランスの先発メンバーを紹介しよう。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からルカ・デュボワ、クルト・ズーマ、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニとポール・ポグバ、攻撃的な位置は右にキングスレー・コマン、中央にアントワン・グリエズマン、左にアドリアン・ラビオ、FWは中央にアントニー・マルシャルという布陣である。
ボスニア・ヘルツェゴビナ戦と比較すると6人が入れ替わっており、攻撃陣からカリム・ベンゼマとキリアン・ムバッペの名前が同時に消えた。ベンゼマがフランス代表でベンチスタートというのは2013年11月15日以来、ほぼ8年ぶりのことである。実はこの試合はこれまでに唯一フランスがウクライナに敗れた試合であり、1点を追う70分にオリビエ・ジルーに代わって出場したが、逆にフランスは追加点を奪われ、0-2と敗れている。またトマ・ルマールは試合直前に負傷により、メンバーから外れている。
■5試合連続で先制を許したフランス
試合は青いユニフォームのウクライナのキックオフで始まった。先手を取りたいウクライナは開始早々からフランスのゴールを攻める。しかし地力に勝るフランスはボール支配率でウクライナを大きく上回る。フランスはしばしばチャンスをつかむが、得点には至らない。ウクライナの初めての得点機は35分であった。ウクライナはCKのチャンスをつかみ、フランスのマークが外れたところをシュート、さらに波状攻撃をかけ、ロリスがセーブして得点は許さなかったものの、フランスに脅威を与える。さらに38分にもウクライナはイングランドのウェストハムに所属する数少ない国外組であるアンドリィ・ヤルモレンコがヘディングでシュート、これはロリスが難なく処理する。
試合が動いたのは前半の終了間際であった。44分にフランスはポグバとグリエズマンがボールを前方にフィードする。ラストパスをゴール前のマルシャルに渡すが、ウクライナのGKのアンドリィ・ピヤトフが前に出てきて、1対1のチャンスを逃してしまう。そしてそこからウクライナはカウンターアタックを仕掛けた。ロマン・ヤレムチュクがキンペンベをかわして、前方に上がってきたミコラ・シャパレンコにパス、地元ディナモ・キエフに所属するシャパレンコが先制点を決め、キエフのファンは歓喜する。
欧州選手権から5試合連続で先制を許したフランスのメンバーがハーフタイムにロッカールームに引き揚げた。
■アントニー・マルシャルのゴールで引き分けに持ち込んだフランス
両チームともメンバー交代なく、後半が始まった。ベンチの近くではベンゼマたちがウォーミングアップを開始した。そして試合が再開して間もない50分、フランスはコマンが右サイドからクロス、これをペナルティエリア内のラビオがヘディングでつなぐ。このボールにいち早く反応したのがマルシャルで、右足のシュートはゴールネットを揺らす。これでフランスは追いついた。マルシャルにとっては久しぶりのフランス代表としてのゴールとなった。そのマルシャルは64分にベンゼマと交代する。フランスは勝ち越し点を取りに行ったが、結局、試合は1-1のドロー。相手のウクライナが2位であるということを考えれば、首位キープのために勝ちに近い引き分けと言えるであろう。(続く)