第2915回 フランス、5大会連続でワールドカップ予選突破(3) キリアン・ムバッペ、代表戦では63年ぶりの1試合4得点

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■満員の観衆となったパルク・デ・プランス

 5大会連続でのワールドカップ予選突破のかかるカザフスタン戦、前回の本連載で紹介した23人のメンバーには初選出の選手はいなかった。所属するRBライプチヒで抜群の得点力を誇り、メンバー発表の前日にもチャンピオンズリーグの試合で得点をあげたクリストファー・ヌクンクが選出されるのではないかと期待されたが、ディディエ・デシャンは堅実なメンバー選考となった。なお、メンバーの中でマテオ・ゲンドウジだけは代表にはこれまでも何回か招集されたことがあるが、出場経験がない。
 フランスがカザフスタンと対戦するのは今予選が最初であり、アウエーの戦いは3月28日に行われ、フランスが2-0と勝利している。カザフスタンは世界ランキングも125位、本予選でも最下位、フランスの勝利は固い、ということでメンバーが発表された時点ではチケットは1万枚以上売れ残っていたが、最終的には45,561人という満員の観客がパルク・デ・プランスに集まった。

■試合前には6年前の同時多発テロの犠牲者を悼む黙祷

 フランスの先発メンバーはGKは主将のウーゴ・ロリス、DFは若い3人が並び、右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、ルカ・エルナンデス、MFは5人、低い位置にキングスレー・コマン、エンゴロ・カンテ、アドリアン・ラビオ、テオ・エルナンデス、トップ下にアントワン・グリエズマン、2トップは右にカリム・ベンゼマ、キリアン・ムバッペとなる。試合前には6年前の同時多発テロの犠牲者を悼み、1分間の黙祷がささげられる。

■前半はキリアン・ムバッペのハットトリックで3-0とリード

 試合はカザフスタンがフランスの攻撃を阻止しようと積極的な守備を行うが、フランスはそのカザフスタンの壁をいとも簡単にこじ開けた。6分、ベンゼマが左サイドのテオ・エルナンデスにボールを渡し、テオ・エルナンデスがゴール前にクロスをあげ、それをムバッペが右足で合わせて先制点となる。欧州選手権以降、先制点を奪われることの多かったフランスであったが、これだけ力量が違うと先制点を奪うことは難しくはなかったであろう。
 ムバッペはこのゴールが代表での20得点目となったが、弱冠22歳の若者はこのゴールで火が付いた。12分にはクンデのFKをコマンがゴール前でカザフスタンのGKと競り合って落としたところをムバッペがシュート、追加点となる。
 フランスが圧倒的にボールを保持し、試合を支配するが、カザフスタンも闘争心をもってフランスに立ち向かい、劣勢の中でロリスの守るゴールをめがけてシュートするが、得点には至らない。
 32分にはクンデ、コマンが右サイドを崩し、コマンのクロスをムバッペがヘディングでゴールを決める。ムバッペはフランス代表として1試合に2得点したことはこれまで2試合あるが、ハットトリックはこれが初めてのことである。

■後半もゴールラッシュ、ワールドカップ予選を突破する

 後半になって最初に得点を決めたのはフィールドプレーヤーとして最年長のベンゼマであった。ルカ・エルナンデスとテオ・エルナンデスの兄弟コンビで左サイドを崩し、ゴール前にクロスをあげる。これをベンゼマがニアポストで合わせて代表34得点目、ダビッド・トレゼゲと並ぶ。さらにベンゼマは59分にも追加点をあげて、フランス代表の得点ランキングで単独5位となる。
 その後もフランスは攻め続け、72分にはベンゼマに代わって入ったムーサ・ディアビのシュートが決まったが、ムバッペのオフサイドで取り消される。しかし、75分にはラビオがグリエズマンのCKをヘディングで合わせて、6-0とする。ラビオにとってはかつてのホームスタジアムでうれしい代表初ゴールとなった。84分にはグリエズマンがペナルティエリア内で倒され、自らがPKを成功させる。グリエズマンは代表42点目となり、代表の得点ランキングでは、ミッシェル・プラティニを押さえて、単独3位に浮上した。
 87分にはムバッペがこの日4点目を決め、その直後に交代する。代表戦での1試合4得点は1958年のワールドカップの西ドイツ戦のジュスト・フォンテーヌ以来63年ぶりの偉業である。
 フランスは8-0と大勝し、5大会連続でワールドカップ予選を突破したのである。(この項、終わり)

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