第2916回 フィンランドに勝利、有終の美を飾る (1) ティエリー・アンリをしのぐか、キリアン・ムバッペ

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■記録に残るゴールを決めたカザフスタン戦の4選手

 フランスは、11月13日にパルク・デ・プランスで行われたカザフスタン戦で8-0と勝利し、ワールドカップ出場を決めた。この試合でキリアン・ムバッペが4得点、カリム・ベンゼマが2得点、アントワン・グリエズマンとアドリアン・ラビオが1得点ずつあげたが、それぞれの選手にとっては記録に残るゴールとなった。
 前回の本連載でも紹介したが、ムバッペの1試合4得点は1958年ワールドカップで記録したジュスト・フォンテーヌ以来の快挙となる。相手の力量が劣るとはいえ、63年前とは1点の重みの違う近代サッカーにおいて1試合4得点は後世まで語り継がれる数字である。また、ラビオはうれしい代表初ゴールとなった。パルク・デ・プランスを本拠地としているパリサンジェルマンと契約でもめて退団したラビオにとってかつてプレーしたスタジアムでの代表初ゴールは感無量であろう。そしてグリエズマンとベンゼマはこの日のゴールで代表通算ゴールの順位を上昇させた。グリエズマンは通算42得点となり、これまではミッシェル・プラティニと並んでいたが、これで単独3位となった。また、ベンゼマも通算35得点となり、ダビッド・トレゼゲを一気に抜き去って5位となった。

■代表得点ランキングのトップはティエリー・アンリ

 ここで代表での通算ゴール数を確認しよう。1位はティエリー・アンリの51得点、2位はオリビエ・ジルーで46得点、3位はグリエズマンの42得点、4位はプラティニで41得点、5位がベンゼマの35得点となる。この中で現在も代表入りしているのがグリエズマンとベンゼマである。そしてアンリを抜くのではないかと期待されたジルーはこのところ代表から外れている。グリエズマンもカザフスタン戦のようにPKを任されることが多く、PKでの得点数8はフランス代表史上最多で、アンリの記録を更新する可能性はある。

■アンリよりも3歳若い時点で得点を積み重ねるキリアン・ムバッペ

 一方、忘れてはならないのがムバッペである。代表通算23得点となり、この試合の4得点でエリック・カントナ、ポール・ニコラ(20得点)、ジャン・ニコラ(21得点)、ジャン・バンサン(22得点)を一気に抜き去って得点ランキングを12位まで上昇させた。
 得点ランキングトップのアンリは123試合で51得点、対するムバッペは52試合出場で23得点であり、1試合当たりの得点数には差はないが、注目すべきは、ムバッペはまだ22歳10か月ということである。アンリが代表にデビューしたのは20歳2か月だった1997年10月のことである。代表4試合目となる1998年ワールドカップのグループリーグの南アフリカ戦で初得点を記録する。アンリが代表で23得点目を記録したのは2003年9月6日のキプロス戦である。この時、アンリの年齢はすでに26歳であった。つまり、ムバッペはアンリよりも3年以上早く得点を積み重ねているわけである。ムバッペがアンリの51得点を抜く最有力候補かもしれない。

■6月の復帰後にハイペースで得点をあげるカリム・ベンゼマ

 また、ベンゼマはすでに33歳であり、今後どれだけ得点を積み上げることができるかは不透明であるが、代表戦では93試合で35得点と、所属するレアル・マドリッド(スペイン)でのパフォーマンスに比べて成績が悪いことに加えて、2015年10月から2021年6月まで、6年近くの間、代表に呼ばれていなかったブランクは大きい。
 そして、所属クラブに比べて代表での得点数の少なさ、という指摘であるが、今年6月に復帰してからも、最初の出場4試合では無得点であったが、5試合目となるポルトガル戦では2得点をあげた。UEFAネーションズリーグのファイナルズでは準決勝でも決勝でも1得点ずつをあげ、優勝に貢献している。ベンゼマは6月に復帰してからカザフスタン戦までの12試合で8得点というかなりのハイペースで得点を重ねているのである。
 フランスにとっては消化試合となるフィンランド戦はムバッペが先発、ベンゼマも途中出場することになるのである。(続く)

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