第2917回 フィンランドに勝利、有終の美を飾る(2) プレーオフ出場がかかったフィンランド

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■真剣勝負となる最終戦のフィンランド戦

 前回の本連載ではワールドカップ予選突破を決めた11月13日のカザフスタン戦で得点をあげた選手を紹介し、それぞれにとって記録に残るゴールだったことを紹介した。そしてワールドカップ出場を決めたフランスは11月16日にアウエーでフィンランドと最終戦を戦う。欧州においてはUEFAネーションズリーグのスタートを契機に親善試合の数が減少している。こういう試合で若手選手や新たなフォーメーションを試したいところである。そしてカザフスタン戦で4得点をあげたキリアン・ムバッペ、2得点をあげたカリム・ベンゼマに休養を与えたいところである。
 ところが、このフィンランド戦では経験のない選手を試すことよりも真剣勝負をもう1試合戦うことになったのである。

■スタッド・ド・フランスでの痛恨の敗戦となった昨年11月のフィンランド戦

 その理由は2つある。まず、フランスはフィンランドには勝たなくてはならないからである。フランスが2018年のワールドカップ以降敗れたのは、3回だけである。まず、2018年11月16日のUEFAネーションズリーグのアウエーでのオランダ戦、そして2020年11月11日のスタッド・ド・フランスでのフィンランドとの親善試合、最後は2021年6月28日にブルガリアのブカレストで行われた欧州選手権決勝トーナメント1回戦のスイスとのPK戦、この3試合だけである。このうちスイス戦は記録上は引き分けであり、オランダ戦はアウエーゲームである。ホームのスタッド・ド・フランスで敗れたフィンランド戦はディディエ・デシャン監督にとっては汚点である。その後、フィンランドとはワールドカップ予選のホームゲーム、9月7日に対戦し、2-0と勝利しているが、この最終戦で負けるわけにはいかない。

■グループDで2位を争うフィンランドとウクライナ

 そして、もう1つの理由はフランスの所属しているグループDの2位争いである。欧州からのワールドカップ出場チケットは16枚である。グループAからJまでの各グループの首位10チーム、そして残り6チームはプレーオフの勝利チームである。プレーオフに出場できるのは、各グループで2位に入った10チーム、そして今回のグループリーグで3位以下になったチームのうち、直近のUEFAネーションズリーグで各グループで首位になったチームのうち上位2チームである。
 まず、UEFAネーションズリーグのグループで首位になったのはリーグAではフランス、スペイン、イタリア、ベルギー、続いてグループBではウェールズ、オーストリア、チェコ、ハンガリー、この辺りまでが候補であろう。
 そしてグループDはフランス-カザフスタン戦と同日にボスニア・ヘルツェゴビナ-フィンランド戦が行われた。この試合でフィンランドが3-1と勝利した。
 この時点でのグループDの順位は首位はフランスで確定、4勝3分で勝ち点15である。2位はフィンランド、3勝2分2敗で勝ち点11、3位はウクライナ、1勝6分で勝ち点9、ここまでにワールドカップ出場の夢が残されている。

■フランスに勝利すれば自力で2位が確定するフィンランド

 11月16日はフィンランド-フランス戦とボスニア・ヘルツェゴビナ-ウクライナ戦が同時に行われる。フィンランドは勝利すれば、2位が確定し、プレーオフ出場が決まる。またフィンランドが引き分けた場合は、ウクライナが引き分け以下であれば2位となる。逆にフィンランドが敗れ、ウクライナが勝利した場合はウクライナが逆転して2位となる。またフィンランドが引き分け、ウクライナが勝利した場合は両チームが勝ち点12で並び、得失点差の勝負となる。この時点でフィンランドもウクライナも得失点差は+2であり、ウクライナが2位となる。
 なお、フィンランドもウクライナもUEFAネーションズリーグ枠でのプレーオフ出場の可能性はなく、このグループリーグで2位になることのみがワールドカップへの道となる。
 フィンランドとしてはフランスに対して1年ぶりの奇跡の勝利をあげることができれば、ワールドカップへの夢が続く。このモチベーション十分の相手と対戦できることはフランスにとってもよい機会となったのである。(続く)

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