第3094回 ワールドカップメンバー発表(1) 26人のメンバーを発表したディディエ・デシャン監督
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■準備期間のないままに本大会の始まる今回のワールドカップ
史上初めてとなる秋開催のワールドカップ、連覇を目指すフランスのメンバーが発表された。今回は大会前に親善試合を行う余裕はなく、各国のリーグを終えてからメンバーが集合して合宿を行って本大会に突入するというスケジュールである。従来の大会のように大会前に数試合親善試合を行ってメンバー選考、チーム編成というわけにはいかない。またシーズン中の開催ということで負傷中の選手も少なくない。最長1か月にわたり、7試合を戦う大会のメンバー選出にはいずれの国も頭を悩ますことであろう。
■11月9日に発表された登録枠より1人少ない25人のメンバー
ディディエ・デシャン監督は11月9日の20時からのTF1のニュースの中で選手を発表したが、その後のメンバーの変更もあり、これらをまとめて紹介しよう。 この日、デシャン監督が発表したのは登録枠よりも1人少ない25人であり、メンバーは次の通りである。GKはウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、スティーブ・マンダンダの3人、DFはルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、プレスネル・キンペンベ、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ウィリアン・サリバ、ダヨ・ウパメカノ、ラファエル・バランの9人、MFはエドゥアルド・カマビンガ、ユスフ・フォファナ、マテオ・ゲンドウジ、アドリアン・ラビオ、オーレリアン・チュアメニ、ジョルダン・ベレトゥの6人、FWはカリム・ベンゼマ、キングスレー・コマン、アントワン・グリエズマン、ウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペ、クリストファー・ヌクンクの7人である。
■負傷で外れたマイク・メニャン、ポール・ポグバとエンゴロ・カンテ
本連載の読者の皆様であれば、このリストの中に入っていない選手が気になるであろう。まずはGKでは急成長してきたマイク・メニャン、MFはポール・ポグバとエンゴロ・カンテ、この3人は負傷によってメンバー入りがかなわなかった。一方、同じ負傷中の選手であってもバラン、ベンゼマ、キンペンベはメンバーに入った。
一方、戦術的な理由でメンバーから外れた選手としてはDFではフェルラン・マンディ、ジョナタン・クロース、FWのウィッサム・ベンイェデルあたりに代表される。
9月のネーションズリーグの際も多くの負傷者を抱えていたフランスであったが、11月になっても状況は改善されず、苦心のメンバー選考となった。ワールドカップ前最後の代表戦となった9月の戦いでは、5人の新人が起用されたが、その中でフォファナのみが本大会へのチケットを獲得した。
前回のワールドカップに出場した選手は11人、そして昨年行われた欧州選手権に出場した選手は13人である。これまでにワールドカップと欧州選手権の本大会に出場したことのない選手が10人、テオ・エルナンデス、コナテ、サリバ、ウパメカノ、カマビンガ、フォファナ、ゲンドウジ、チャウメニ、ベレトゥ、ヌクンクである。
ポジション別にみるとポグバとカンテが不在のMFには経験の浅い選手が並ぶ。一方、FWはジルー、ベンゼマという大ベテランの選手が控える。
■4バックシステムの中核、プレスネル・キンペンベも離脱
そして25人の中で9人がDFである。このチームがネーションズリーグで苦戦した理由としては負傷者が続出したことに加え、3バックか4バックかが定まらなかったことにある。9人と多くの人数を割り当てたことはデシャン監督が4バックで本大会に臨む覚悟であることを見通すことができる。バラン、キンペンベという負傷を抱えた選手も招集したが、合宿初日の14日、デシャン監督はチームドクターと相談した結果、キンペンベをメンバーから外すことを決定し、これまで代表経験のないモナコのアクセル・ディザジを招集する。また26人目の選手として親子二代のワールドカップとなるFWのマルクス・テュラムを発表したのである。(続く)