第3111回 準々決勝のイングランド戦 (3) 快勝した1回戦と同じメンバーで対戦する両国
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■デンマーク戦、ポーランド戦と同じメンバーが先発する
昨年から準々決勝までの道のりが似ているフランスとイングランドが激突する準々決勝、4試合の中で最も注目を集めるカードとなった。大会前から負傷者が続出し、大会初戦の豪州戦が始まって10分もたたないうちにルカ・エルナンデスが負傷して離脱する。不安がよぎる大会の序盤となったが、その後は負傷者も出ず、順調に勝ち上がった。一方のイングランドも自宅に強盗の入ったラヒーム・スターリングが急遽帰国し、決勝トーナメント1回戦は欠場したが、再合流し、準々決勝には間に合った。
フランスはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にオーレリアン・チュアメニ、高い位置には右にアントワン・グリエズマン、左にアドリアン・ラビオ、FWは中央にオリビエ・ジルー、右にウスマン・デンベレ、左にキリアン・ムバッペ、決勝トーナメント1回戦のポーラド戦と同じ布陣である。メンバーだけ見れば、グループリーグ第2戦のデンマーク戦とも同じ、すなわち決勝トーナメント進出を確定し、メンバーを大幅に入れ替えたチュニジア戦を除くと、3試合同じ先発メンバーで戦っている。第1戦で負傷したルカ・エルナンデスと動きの悪かったバンジャマン・パバールが外れ、復調したラファエル・バランが戻ってきた第2戦のデンマーク戦のメンバーにディディエ・デシャン監督は満足しているようである。
■セネガル戦と同じメンバーで戦うイングランド
一方のイングランドはGKはジョーダン・ピックフォード、DFは右からカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、ハリー・マグワイア、ルーク・ショー、MFは低い位置にデクラン・ライス、高い位置には右にジョーダン・ヘンダーソン、左にジュード・ベリンガム、FWは中央にハリー・ケイン、右にブカヨ・サカ、左にフィル・フォーデンという陣容である。イングランドはグループリーグからメンバーを毎試合入れ替えてきたが、ようやくセネガル戦でメンバーが固定、フランス戦はセネガル戦と同じメンバー、同じシステムで戦う。
すなわち、両国とも直前の試合と同じメンバー、同じシステムでこの一戦に臨むことからも好勝負の予感がする。
■今回が初めての国際大会でのノックアウトステージでの対戦
さて、ワールドカップでは両国の対戦は2回であるが、欧州選手権の本大会では3回対戦、フランスが1勝2分と勝ち越しているがいずれもグループリーグでの対戦である。すなわち、今回が初めての国際大会でのノックアウトステージでの対戦となる。なお、1970年代までの欧州選手権はホームアンドアウエーのノックアウト方式で勝ち残った4チームだけがセントラル方式で戦う形式が取られ、第2回となる1964年大会ではフランスとイングランドは1回戦で対戦、フランスが1勝1分で勝ち上がっている。これが両国唯一の本大会以外でのタイトルマッチでの対戦である。UEFAネーションズリーグではまだ対戦の経験がなく、ワールドカップ本大会でイングランド2勝、欧州選手権本大会でフランス1勝2分、欧州選手権予選でフランス1勝1分、タイトルマッチの戦績は2勝3分2敗と互角である。
■最後の対戦は5年前のスタッド・ド・フランスでの親善試合
それ以外に親善試合で26試合対戦、フランスが8勝3分15敗と大きく負け越しているが、初対戦から7試合連続でイングランドが勝利しており、通算成績はあまり参考にならない。直近の2試合は1勝1敗であり、ホームチームが勝利している。
2015年11月のウェンブリーでの試合は直前にパリで同時多発テロが起こった中で行われ、イングランドが2-0と勝利した。
2017年6月にスタッド・ド・フランスで行われた試合は、後半開始早々にバランが退場し、フランスは試合の半分を数的不利で戦ったが、終盤にデンベレが決勝点をあげ、3-2でフランスが勝利している。5年前の最後の対戦に出場し、今回先発しているのはフランスではロリス、バラン、ムバッペ、ジルー、デンベレ、イングランドではウォーカー、ストーンズとケインだけであるが、両チームの選手はしばしば対戦しているのである。(続く)