第3123回 歴史に残る決勝、PK戦で敗れる (4) 得点王を争うキリアン・ムバッペとリオネル・メッシ
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスのクラブ所属の選手が2人いるアルゼンチンの先発メンバー
36年ぶりの優勝を狙うアルゼンチン、決勝戦に臨むメンバー、GKエミリアーノ・マルティネス、DFは右からナウエル・モリーナ、クリスティアン・ロメロ、ニコラス・オタメンディ、ニコラス・タグリアフィコ、MFは低い位置にエンソ・フェルナンデス、高い位置は右にロドリゴ・デパウル、左にアレクシス・マックアリステル、FWは右にリオネル・メッシ、左にアンヘル・ディマリア、中央にフリアン・アルバレスというメンバーである。 この中でフランスのクラブに所属しているのはパリサンジェルマンのメッシ、リヨンのタグリアフィコの2人である。先発したディマリアと控えのレアンドロ・パレデスは今夏までパリサンジェルマンで活躍した。フランスにはパリサンジェルマンのキリアン・ムバッペがいることから、前回大会(ムバッペ、プレスネル・キンペンベ)に続き、パリサンジェルマンからワールドチャンピオンが出ることになった。 両国のメンバーに選手を送り込んでいるのはパリサンジェルマン以外ではイングランドのトットナム・ホットスパー(ウーゴ・ロリス、ロメロ)、マンチェスター・ユナイテッド(ラファエル・バラン、リサンドロ・マルティネス)、スペインのアトレチコ・マドリッド(アントワン・グリエズマン、デパウル、モリーナ、アンヘル・コレア)、イタリアのユベントス(アドリアン・ラビオ、パレデス、ディマリア)、意外なことにアルゼンチンにはスペインのレアル・マドリッド、バルセロナ所属の選手がいない。
■6試合にフル出場のリオネル・メッシ、エミリアーノ・マルティネス、ニコラス・オタメンディ
アルゼンチンの選手起用で注目すべきはフィールドプレーヤの中で最年長のメッシがここまで6試合フル出場していることである。さらに得点もポーランド戦以外の5試合であげていることである。メッシ以外にここまでフル出場はGKのエミリアーノ・マルティネスとDFのオタメンディといういずれも30歳以上のベテラン選手である。これらのベテランを支える若手選手の起用についても注目すべきところがあり、決勝トーナメントに入ってから3試合スタメンとして起用されたのは21歳のフェルナンデス、22歳のアルバレス、24歳のロメロ、モリーナ、マックアリステル、28歳のデパウルと若い選手が多く、大会に入ってきてから調子をあげている。そしてメッシとこの夏までチームメイトだった34歳のディマリアはポーランド戦で負傷したが、決勝トーナメントで初めての先発出場となる。
■様々な個人記録を塗り替え、得点王と優勝を狙うメッシ
優勝争いが第一義であるが、今大会は多くの個人記録が書き換えられており、注目は決勝を迎える時点で得点ランキングで5で並んでいるメッシとムバッペの得点王争いも見逃せない。 今大会ではフランスのオリビエ・ジルー、イングランドのハリー・ケインなどが各国での代表通算得点の記録を更新、樹立してきたが、アルゼンチンのメッシはすでに96点をあげており、2位のガブリエル・バティストゥータの54点に大きく差を付けている。さらにワールドカップでも11得点をあげ、バティストゥータの10点を抜き、最多得点となっている。決勝戦はワールドカップで26試合目の出場となり、これまでドイツ(西ドイツ)のローター・マテウスの持っていた25試合出場を抜いて単独トップとなる。ただ、メッシはこれらの個人記録よりも、いままで獲得することができなかったワールドカップの優勝を何よりも願っているである。
■連続優勝がかかるキリアン・ムバッペ
一方のムバッペであるが、19歳で臨んだ前回大会は4得点、ベストヤングプレーヤー賞に輝き、チームは2回目の優勝を成し遂げた。そして今大会ではターンオーバー制を採用し途中出場となったチュニジア戦以外はフル出場、ここまで5得点であるが、準々決勝のイングランド戦、準決勝のモロッコ戦と得点がない。
また、得点王の可能性があるのはこの2人だけではない。決勝に出場する両チームのCFのジルー、アルバレスが4得点でメッシとムバッペを1点差で追っている。
そして得点王候補のひしめき合った決勝戦は歴史に残る戦いとなったのである。(続く)