連覇を狙うフランス・サッカー 「コンフェデレーションズカップ総括」(3)
歴史的敗北と歴史的連勝
さて、第2戦は豪州戦である。ロジェ・ルメール監督の「グループリーグ3試合は3人のGKを起用する」という方針通り、GKは代表デビューとなるグレゴリー・クーペ。驚いたことにはフィールドプレーヤー10人も韓国戦の先発とすべて入れ替えてきた。初代表の選手はクーペ以外にジェレミー・ブレシェ、ズーマナ・カマラ、フレデリック・ネーであり、初戦で活躍したカリエール、ビエイラの姿はない。メンバーが入れ替わったことに加え、初戦重視の反動からか、動きが良くなく、試合を支配するものの決め手に欠け、逆に初代表のクーペが球を触る機会も多くなる。そして60分には豪州のクレイトン・ゼーンに先制を許してしまう。フランスもアネルカとピレスを投入するが状況は変わらず、78分にはキャプテンを務めたフランク・ルブッフが2枚目の警告を受けて退場処分となる。試合は0-1でフランスが敗れ、欧州・南米以外のチーム相手に初めてPK戦以外で敗れるという歴史的な敗北となったのである。
また、3月28日のスペイン戦に続き、早くも今年2敗目。1994年以来、年間の敗戦は1試合以下という記録も途絶えてしまう。そして、グループリーグ最終戦でメキシコに勝たなければ、決勝トーナメント進出が危ういという苦境に立たされたのである。
そのようなプレッシャーのかかるメキシコ戦のゴールマウスを守るのは今季フランスリーグを制覇したナントの守護神ミカエル・ランドロー。23才になったばかりであるが、リーグ戦では150試合以上に出場し、経験は十分である。若き守護神を支えるフィールドプレーヤーは左サイドの攻撃的MFに負傷のデュガリーに代わってシルバン・ビルトールが入った以外は韓国戦と同じである。大会前のイングランド戦で大敗し、豪州、韓国に連敗したメキシコに前回優勝の面影はなく、試合は一方的なものになる。サニョルからビルトールへのパスが決まり、9分に先制。前半の終盤にはメキシコも得点機があったが守り切り、後半に入るとカリエールが2得点をマークする。ジダンはデビュー戦で2得点したが、カリエールは代表2試合目でジダンと並ぶ活躍をしている。ピレスもビューティフルゴールを上げ、結局4-0と完勝した。
Aグループは3連敗のメキシコ以外はフランス、豪州、韓国が2勝1敗で並んだが、韓国戦の大量得点が効き、得失点差でフランスが1位、豪州が2位となり、開催国の韓国は予選落ちした。
準決勝の相手はブラジル。ワールドカップ予選では低迷し、コンフェデレーションズカップではベストメンバーにはほど遠いメンバーで臨み、苦戦の続くカナリア軍団である。フランスはブラジルと中立地で今まで2回対戦している。最初は58年のワールドカップ・スウェーデン大会準決勝、このときはペレの活躍の前に大会得点王のジュスト・フォンテーヌもかすみ、2-5と大敗を喫している。そして86年のワールドカップ・メキシコ大会準々決勝。激闘は1-1のスコアのままPK戦に。フランスが準決勝に進出したこの試合は、ワールドカップ史上最も美しい試合という評価を受けている。
3回目の中立地での対戦となるフランスの布陣はGKラメ、DFサニョル、デサイー、ルブッフ、リザラズ、MFカランブー、ビエイラ、ピレス、ジョルカエフ、ビルトール、FWアネルカと今大会でもっとも平均年齢、キャップ数の多いメンバーとなり、決勝進出に向けた意気込みが感じられる。98年ワールドカップでの3-0の完勝に続き、試合はフランスが優勢に進め、ピレスが7分に先制点。韓国戦、メキシコ戦に続き、開始10分以内で先制点をマークしている。同点に追い付かれたものの、後半早々には主将デサイーがヘッドであわせて勝ち越し点。中立地でブラジルに90分以内で勝つ、ということを実現するとともにブラジル相手に初めて連勝し、決勝に進出したのである。(4)に続く