連覇を狙うフランス・サッカー 「コンフェデレーションズカップ総括」(2)

サッカー界におけるフランスと韓国の親密な関係

 フランスはコンフェデレーションズカップには今回が初出場となるが、今までに出場のチャンスがなかったわけではない。実は1999年にメキシコで行われた前回大会には、大陸王者としてではなく世界チャンピオンとして参加の要請が来ていた。しかしながら、7月24日から8月4日という大会期間は、フランスリーグの7月30日開幕と日程が重なることからフランス協会は大会参加を断り、本来ならば97年大会に参加すべきであった96年欧州選手権優勝国のドイツが代替出場したのである。(97年大会ではドイツに代わり96年欧州選手権準優勝のチェコが出場している)
 今回も出場を喜んで引き受けたわけではない。イタリア、スペインリーグの選手を招集することができないこと、来年のワールドカップに合わせて来季の開幕は早まっているので休養の期間が短くなっていることから、既にリーグ戦の終了している選手にも休養の期間を与えたいこと、この2つの理由から参加に難色を示す意見もあった。
 しかし、欧州選手権の優勝国として出場は当然の義務であり、ドイツ同様、出場の要請を2回連続して断ることはできなかったのであろう。また、開催地が来年のワールドカップ開催国であることもフランスの出場を後押しした。フランスは韓国で行われるAグループへの組分けを春先以来強く要望してきた。その理由は来年のワールドカップでフランスがグループリーグを韓国で戦うためのスカウティングに加え、サッカーの世界におけるフランスと韓国の親密さに起因する。フランス代表チームのスポンサーには韓国企業も名を連ねており、韓国ではスポンサー企業から様々なサポートを受けている。金浦空港に着いた選手に渡されたものは、歓迎の花束とスポンサー企業からの携帯電話であった。日本への移動にも韓国の航空会社を利用している。フランスのクラブチームの胸には韓国企業のロゴが珍しくなく、ストラスブールで活躍した徐正源(ソ・ジョンウォン)は北東アジアから最初にフランスリーグ1部に所属した選手である。今年はツーロンのユースフェスティバルに日本が参加したが、長い間アジアからの参加国は韓国であった。

 そのような友好関係にある韓国が大会初戦となったが、友好関係もピッチの中では無関係である。フランスに限らず最近はどの国も大会の初戦を重視するようになってきた。冒頭の「ツアーではチームの状態は試合を重ねるに連れて成熟していく」ということとは相反するが、フランス代表も96年欧州選手権(対ルーマニア1-0)、98年ワールドカップ(対南アフリカ3-0)、2000年欧州選手権(対デンマーク3-0)と3大会連続して完封勝ちを収めている。
 新メンバーが大幅に加わった今大会でも先発の11人のうち、欧州選手権優勝メンバーが7人(ウルリッヒ・ラメ、マルセル・デサイー、ビシャンテ・リザラズ、パトリック・ビエイラ、ロベール・ピレス、クリストフ・デュガリー、ニコラ・アネルカ)、欧州選手権後に代表に加わったメンバーが3人(ビリー・サニョル、ミカエル・シルベストル、スティーブ・マルレ)、そして初代表は1人(エリック・カリエール)と経験を重視したメンバー選考となった。(オリビエ・ダクールは82分にピレスに代わって出場し、代表デビューとなっている)
 試合は韓国が終始攻撃的な姿勢を崩さなかったこともあり、5-0と大差がつく。19分のビエイラのスーパーゴールが印象的であるが、忘れてならないのは唯一の初代表のカリエールの活躍である。フランス代表は4-2-3-1というフォーメーションを固定し、トップを支える3人の攻撃的MFの中心はジネディーヌ・ジダンの指定席であった。この背番号10の代役となったカリエールは左右のデュガリーとマルレ、前方のアネルカにパスを供給し、35分のアネルカの唯一の得点のアシストをし、ジダンのライバルとして名乗りを挙げたのである。(3)に続く

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