伝説を築く「ブルー」の真価(3) ~2002年ワールドカップへの第一幕~
さて、宿敵ドイツに勝ちを収め、幸先の良いスタートを切った「ブルー」(フランス代表の愛称)であるが、来年のワールドカップまでの試合日程は、コンフェデレーションズカップを除き決定済みである。
3月24日はサンドニで日本戦、3月28日にはスペインのバレンシアに移動し、スペイン戦が控えている。
4月25日はサンドニで昨年の欧州選手権準決勝の復しゅうに燃えるポルトガル戦。ポルトガル人が世界で一番多く住む都市であるパリの隣町サンドニはホームと言いがたく、注目の一戦となろう。日本戦のチケットがなかなか売れず苦労している(21日現在、8万枚の前売り券は残り2600枚)一方、1カ月以上先にあるポルトガル戦はチケット販売後間もなく完売してしまった。
5月末から6月にかけて、フランスサッカー史上3度目のアジア遠征になるコンフェデレーションズカップに参加する。恒例の真夏の親善試合は8月15日に行われナントでデンマークと対戦。9月1日は久々の南米遠征でチリとの対戦を行い、10月6日にはサンドニでのアルジェリア戦と続く。独立戦争の痛々しい記憶も風化していく中で、アルジェリアとフランスは初めての対戦となる。
第一次世界大戦戦勝記念日の11月11日はシドニーでオーストラリアと対戦し、ワールドカップイヤーを迎える。2月20日にルーマニア、3月27日にスコットランドとサンドニで対戦。4月17日にはローマでイタリア戦。5月18日のサンドニでのベルギー戦が壮行試合となる。
その翌日には日本の指宿で合宿。合宿終了後ソウルに移動し、5月26日の韓国戦が最終調整試合。そして5月31日にソウルで21世紀最初のワールドカップのキックオフを迎えるのだ。
さて、3月24日にフル代表は日本と対戦し、28日にバレンシアに移動してスペインと戦うことは前述の通りであるが、3月22日にドイツ国境に近いミュールーズでフランス選抜とも言えるフランスA’を編成し、ドイツA’と対戦する。
また25日にはスペインのビジャレアルでU-21代表がスペインU-21代表と対戦。このように1週間に国際試合が4試合も集中し、さながら来年のワールドカップに向けた最初のセレクションシリーズとなった。
ロジェ・ルメール監督もこの一連の試合をワールドカップに向けた第一幕と位置付けている。日本ならびにスペインと対戦する20人のフランス代表のメンバーは既にこのコラムの読者の皆さんは周知の通りであり、20人中17人が国外のクラブに所属している。メンバーの中で特筆すべきはサブリ・ラムーシ(パルマ)が代表に復帰したことである。
1998年のフランス・ワールドカップを目前にクレールフォンテーヌの合宿所で代表落ちを宣告された6人のうちの一人である。ラムーシは昨年2月のベルギーA’戦でフランスA’に入り、屈辱の代表落ち以来ほぼ3年ぶりにフル代表に復帰した。
一方、ギ・ステファンが率いるフランスA’は18人が選出され、フル代表経験者はバルセロナのリシャール・デュトルエル、パリサンジェルマンのローラン・ロベール、リヨンからビカシュ・ドラッソーとスティーブ・マルレ、ドイツ戦に先発出場したバイエルン・ミュンヘンのビリー・サニョルが選ばれた。フル代表未経験者ではナントで活躍する27歳のエリック・カリエールが注目の選手である。
さらにU-21代表にはパリサンジェルマンからインターミラノに移籍したステファン・ダルマ、ダルマと共にマルセイユから今季パリサンジェルマンに移籍してきたぺテール・リュクサンなど18人が選出されている。フル代表経験者はいないが来年のワールドカップのメンバーも十分に狙えるメンバーである。
フル代表の連戦の最初の相手である日本を率いるのはフィリップ・トルシエ。フランス人でありながらこれで3度母国の代表チームと対戦することとなる。南アフリカを率いてワールドカップ・フランス大会では惨敗、そして昨年のモロッコのハッサン二世杯ではPK戦で敗退、そして3度目の挑戦となるサンドニでの対戦。フランスが王者の貫禄を示すのか、それともトルシエの執念が金星を挙げるのか、興味が尽きない一戦である。(了)
GK | |
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リオネル・レティジ | (パリ・サンジェルマン) |
ウルリヒ・ラメ | (ボルドー) |
DF | |
ヴァンサン・カンデラ | (ローマ) |
マルセル・デサイー | (チェルシー) |
フランク・ルブーフ | (チェルシー) |
ミカエル・シルヴェストレ | (マンチェスター・U) |
ビセンテ・リザラズ | (バイエルン) |
リリアン・テュラム | (パルマ) |
クリスチャン・カランブー | (ミドルスブラ) |
MF | |
サブリ・ラムジ | (パルマ) |
ヨハン・ミクー | (パルマ) |
クロード・マケレレ | (R・マドリード) |
エマニュエル・プティ | (バルセロナ) |
ロベール・ピレス | (アーセナル) |
パトリック・ヴィエラ | (アーセナル) |
ジネディーヌ・ジダン | (ユヴェントス) |
FW | |
ティエリー・アンリ | (アーセナル) |
ダヴィド・トレゼゲ | (ユヴェントス) |
シルヴァン・ヴィルトール | (アーセナル) |
クリストフ・デュガリー | (ボルドー) |
1994年5月 | 1-4 | キリンカップサッカー |
2000年6月 | 2-2 (PK2-4) |
ハッサン2世杯 |
1998年6月 | 南アフリカ | 0-3 | フランス | ワールドカップ |
2000年6月 | 日本 | 2-2 (PK2-4) |
フランス | ハッサン2世杯 |