連覇を狙うフランス・サッカー 「フランス・サッカー 2000-2001総集編」前編

ナントとリヨンの躍進

 5月26日、スタッド・ド・フランスで伝統のフランスカップの決勝が行われた。1部最下位のストラスブールと3部リーグに相当するナショナルリーグのアミアンという異色のカードとなった。試合は延長戦に入っても両チーム無得点、PK戦で決着をつけることとなり、GKのホセ・ルイス・チラベルト自身が5人目のキッカーとして成功させたストラスブールが5-4でPK戦を制した。
 フランスカップ決勝も終了し、フランスサッカーの1年がようやく終わった。1998年のワールドカップに続き、欧州選手権を制覇したフランス。2冠を獲得して迎えたフランスサッカーの1年を振り返ってみよう。

 欧州選手権の期間中からクラブレベルではすでにインタートトカップが始まっていた。フランス勢はオセール、ランス、スダンの3チームが参加していたが、オセールが決勝に進出したものの、3回戦でランスを破ったシュツットガルト(ドイツ)に延長の末に敗れ、39年ぶりの欧州カップ出場を狙ったスダンも3回戦でドイツのヴォルフスブルクに敗れており、今年もインタートトカップ経由でUEFAカップに出場することはできなかった。
 リーグ戦は例年通り、7月下旬に開幕。28日の開幕戦はビッグクラブ復活を願うファンで真っ青に染まるベロドロームで、マルセイユがトロワを迎えた。しかし、マルセイユは最後の最後まで2部降格の危機に瀕(ひん)する状況であり、また前年に独走優勝をしたモナコ、大型補強のパリサンジェルマン、名物監督ギ・ルーの去ったオセールなどの上位の常連も不振が続き、順位表の下位をさまよった。代わって上位を争ったのが、昇格2年目のスダン、2部から昇格したばかりのリール、スポンサーが安定したレンヌなどである。またボルドー、リヨン、ナントなども手堅く勝ち点を上乗せしてきた。
 結局はナントが最終節(第34節)を待たずに5月12日の第33節でサンテエチエンヌをホームで1-0と完封し、2位のリヨンを振り切り、6年ぶり8度目の優勝を果たす。特筆すべきはナントとリヨンの終盤の成績である。ナントは2月18日の第27節のストラスブール戦以降8連勝、リヨンは3月3日の第28節のボルドー戦以降7連勝を飾って、シーズンを閉じた。元祖カナリア軍団といわれるナントはオランピック・ド・マルセイユの5連覇以降、モナコに次いで2回のリーグ優勝を果たしたチームとなった。
 リーグ2位のリヨンはブラジル代表として日本初見参となるソニー・アンデルソンが2年連続で通算3回目の得点王(22得点)のタイトルを獲得した。また、リーグカップ決勝でモナコを下し、フランス第2の都市に実に28年ぶりのビッグタイトルをもたらしたのである。さらに欧州チャンピオンズリーグでも活躍し、2次リーグ(グループC)ではアーセナルと勝ち点で並んだが、直接対決の成績が得失点差よりも優先されるため、準々決勝進出をあと一歩のところで逃した。
 ナントとリヨンが評価されるべき点はリーグ戦においてその成績だけではなく、警告・退場の少なさを競うフェアプレーランキングでも、1位、2位を占めている点である。(中編へ続く)

このページのTOPへ