連覇を狙うフランス・サッカー 「フランス・サッカー 2000-2001総集編」中編

欧州カップ戦での不振と相次ぐ悲しい事件

 元気がなかったのはリーグ戦におけるビッグクラブだけではない。欧州カップ戦で期待以上の成績を残したのは前述のリヨンくらいであった。
 フランスリーグのチャンピオンとしてチャンピオンズリーグに出場したモナコは1次リーグ(グループD)で2勝1分3敗で最下位敗退。フランスリーグ2位で出場したパリサンジェルマンは1次リーグ(グループF)はバイエルンミュンヘン(ドイツ)に続いて2位で2次リーグに進出したものの、2次リーグ(グループB)での勝ち星はすでに準々決勝進出を確定していたガラタサライ(トルコ)から最終戦で上げただけで、予選リーグ最下位に沈んだ。リヨンは前年リーグ3位で予備予選の3回戦から参戦。1次リーグ(グループC)では決勝に進出したバレンシアに続いて2位になり、2次リーグでも活躍したが、準々決勝進出はならなかった。
 また、もう一つの欧州カップであるUEFAカップにはリーグ4位のボルドーに加え、フランスカップ勝者のナントとリーグカップ勝者のグーニョンが出場した。グーニョンは1回戦で敗退したが、ナント、ボルドーはベスト8決定戦にあたる4回戦まで進出した。しかし、ナントはポルト(ポルトガル)に、ボルドーはラジャ・バレカノ(スペイン)に敗れ、準々決勝進出を阻止された。
 結局、フランスのクラブチームは1チームも欧州カップの準々決勝に進出できなかった。これは1984年以来17年ぶりのことである。1990年代はほぼ毎年複数のチームが8強に進出していたが、ワールドカップを制覇した1998年あたりから状況は変わってきた。特にチャンピオンズリーグは1993年以来コンスタントに8強入りしていたが、ワールドカップ獲得以降、3年連続して8強に残ることができず、ふがいない成績である。

 クラブの成績以外でも悲しい事件が続いた。まずは昨年秋以来の偽造パスポート事件。EU以外の選手に出場制限があることからパスポートの偽造が相次ぎ、サンテエチエンヌは勝ち点をはく奪された。また、忘れてならないのは昨年12月21日にストラスブールで行われたストラスブール-メッス戦で起こった唯一の女性審判員のネリー・ビエノ女史に対するファンの投石事件である。試合は途中で中断し、4月11日に再試合が観客不在のスタジアムで行われた。フランス・サッカーの歴史の中で非公開の試合が行われるのは1974年のニース-ニーム戦以来2回目のことである。さらに、多くの監督が更迭されたのも今季の特徴であった。(後編へ続く)

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