連覇を狙うフランス・サッカー 「フランス・サッカー 2000-2001総集編」後編

地元ファン期待の新たなブルーたち

 悲しい事件の多い2000-2001シーズンであったが、シーズン終了後に行われるコンフェデレーションズカップに期待したい。代表選手の多くが活躍するイタリアならびにスペインのリーグ戦が6月中旬まで行われるため、ジネディーヌ・ジダンをはじめとする9人の代表選手を招集することができなかった。また、ファビアン・バルテス、リオネル・レティジ、ティエリ・アンリなどが負傷し、結局メンバーは大幅入れ替えとなった。
 初代表は8人。GKのミカエル・ランドロー(ナント)、グレゴリー・クーペ(リヨン)、DFのジェレミー・ブレシェ(リヨン)、ズーマナ・カマラ(マルセイユ)、MFのエリック・カリエール(ナント)、ニコラ・ジレ(ナント)、オリビエ・ダクール(リーズ)、FWのフレデリック・ネー(バスティア)である。注目すべきはダクール以外の7人がフランスリーグに所属し、かつナントから3人、リヨンから2人と今季上位のチームから複数名が選出されていることである。

 1996年の欧州選手権以降、フランス代表はメンバーを固定化して戦ってきた。この間に代表に定着していたメンバーでブルーのユニフォームを脱いだ選手はディディエ・デシャン、ローラン・ブランくらいである。またこの数年間に代表クラスの選手はほとんどが国外に流出してしまった。フランスリーグに所属している選手は欧州カップで活躍することもなく、フランスリーグで活躍しても代表チームに招集されることのない不遇な選手生活を送ってきた。この数年間に国内リーグでの活躍を目の当たりにしたファンから代表入りを嘱望されていながらも、ブルーのユニフォームを着ることができなかった選手がなんと多かったことか。
 そのような地元ファンの声が、コンフェデレーションズカップと他国リーグ戦の日程の重複という事態により、反映されることになった。その象徴が今回ジダンのつけていた背番号10を着用することになったカリエールである。攻撃的MFとしてアシスト王(12点)を獲得し、ナント優勝の立役者として今季のフランスリーグのMVPといえるであろう。実にフランス的なサッカーをする選手であり、ジダン自身も背番号10が決して安泰ではないことを認識しているはずである。またマルセイユのカマラもクラブはリーグ15位と降格すれすれの不本意なシーズンを送ったが、代表入りで気分転換を図ってほしい。

 初代表となった彼らは決して若くはない。ブレシェ、カマラ、ランドローは20代前半であるが、クーペ、カリエールは28才、ネーは26才、ダクールは25才、ジレは24才である。国内リーグでの実績は申し分なく、クーペはすでに200試合以上、ランドローも150試合近くの出場経験がある。ないのはクラブでのひのき舞台での経験と青いユニフォームだけである。代表クラスの選手が国外に流出した後もフランスリーグの観客動員数は増加し、今季は初めて700万人を突破した。このファンの熱い声援にこたえるためにも韓国と日本で活躍してほしいものである。
 7年前、初めてフランス代表が極東の地を踏んだ時、代表のユニフォームに初めてそでを通した選手が一人だけいる。今回の遠征には負傷のために加わっていないが、いまや世界一のGKと評価されているバルテスである。バルテスも代表入りしたときには実力不足ではないかと懸念されていたが、観客もまばらな雨の神戸での豪州戦が栄光への第一歩となった。この8人のうち「第2のバルテス」となるのはだれなのだろうか。(了)

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